メーカー純正カスタマイズの魅力って?

日産 GT-R NISMO 2020年モデル[Photo:日産自動車]

メーカー純正カスタマイズってどんな感じ?

チューニング、ドレスアップ、カスタマイズ……。クルマいじりの楽しみは、いつの時代も同じだ。愛車を自分の好みに合うように、自由にカスタマイズするのは、世界共通の文化といっていい。

ただ、今やカスタマイズの世界は、タイヤやホイールの交換からエンジンチューニングまで本当に幅広く、まだまだビギナーにはアフターマーケットのパーツを選びきれないところがある。

そんな中で、ユーザーからの支持が年々高まっているのが、自動車メーカーが純正、または純正並と認めるカスタマイズブランドだ。メーカーが公認するくらいだから、パーツの性能は折り紙つき。パーツ自体の品質も純正並で、無理なく装着できるよう作られていて、ビギナーが選ぶにももってこいだ。

レース発祥が多い国産メーカー

日産 GT-R NISMO 2020年モデル[Photo:日産自動車]
ホンダ 新型シビックハッチバック用無限パーツ
レクサス 新型LC500 TOM’S

そんな純正カスタマイズブランドを挙げると、トヨタならTOM'S(トムス)やTRD、モデリスタ、日産ならNISMO(ニスモ)、ホンダなら無限とモデューロ、スバルではSTIなどが代表的。いずれも専門ブランドで、原則的に他メーカーのパーツを作ることはない。

トムスは、もっとも古いブランドのひとつ。トヨタとの資本関係はないが、1970年代のトヨタのレース活動中止時に、それを引き継ぐ形で設立された。それだけに、サスペンションやマフラー、ボディ補強パーツなど、走りに関するパーツが得意。コンプリートカーも販売している。TRDは、トヨタ傘下のトヨタテクノクラフトのチューニングブランド。レーシングカーの開発も行っており、機能パーツはよりハードな走りを指向している。トヨタ直系だけに車種ラインアップも幅広い。

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NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は、日産のレース活動の母体として1980年代に設立。ニスモ・バージョンのコンプリートカーは人気で、クルマ全体のバランスを考えたパーツ作りがなされている、まさにメーカー純正ブランドだ。

無限も古く1970年代の設立。ホンダとの資本関係はないが、80年代からホンダのセミワークスとしてレース活動を行いっている。カスタマイズもホンダ系の老舗で、スポーツモデルをメインにパーツをラインアップする。一方、トータル指向のエアロデザインが魅力なのがモデューロ。ホンダ純正アクセサリーブランド、アクセスのドレスアップ部門だ。

チューナー色の強い海外メーカー

メルセデスAMG 新型GT R PRO 外装(エクステリア)
メルセデス AMG E53 4MATIC+ ボディカラー:ヒヤシンスレッド
BMW M5

では海外はというと、メルセデス・ベンツのAMG、BMWのM Gmbh、アウディはアウディスポーツが代表的。いずれもドイツのメーカーで、カスタム部門というより、チューナー的色彩の強さが日本のブランドとの違いだ。

AMGは現在メルセデスの上級ブランドになっているが、元々は専門チューナー。日本では主に正規ディーラーがパーツを扱っていて、メルセデスのユーザーが憧れるブランドとなっている。

M Gmbhは、Mモデルの開発で知られるBMWの研究・開発部門。一般車向けに、Mパフォーマンスという純正カスタマイズパーツをラインアップしている。優れたデザインと品質は日本でも高い人気だ。

アウディスポーツはアウディのRSモデルを生産するスポーツカーブランド。まだ新しいブランドなので、積極的にパーツを販売しているわけではないが、正規ディーラーからパーツを取り寄せてもらうユーザーも少なくない。やはり品質の高さが魅力だ。

車検OKが最大のメリット

(左)日産 ノートe-POWER AUTECH (右)日産 ノート e-POWER NISMO S

そして、メーカー純正カスタマイズのもうひとつの魅力は、メーカー公認ということで、ほとんどのパーツが装着したまま車検が受けられることだ。

もちろん、メーカー純正ではなくても車検を通るアフターマーケットのパーツは数多い。純正を凌ぐ品質のブランドだっていくつもある。それでも、パーツによっては車検時に証明書や強度計算書などが必要になったり、持ち込む車検場や、車検をまかせるディーラーの解釈で、面倒が増えたりもする。だから、ハードなチューニングやレース、極限的なドレスアップまで考えているのでなければ、メーカー純正のカスタマイズブランドは理想的。日常使いでのバランスのよさが、メーカー純正カスタマイズの持ち味なのだ。

[筆者:永田 トモオ]

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