日朝韓と米で友好条約を 北東アジア非核地帯創設向け 長大レクナ提言

非核兵器地帯創設に向けた提言を説明するレクナの吉田センター長(右)ら=長崎市、長崎大文教キャンパス

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は18日、北朝鮮と韓国、日本を含む「北東アジア非核兵器地帯」の創設に向け政策提言を発表した。この3カ国に米国も加え、北東アジアの安全保障、経済、エネルギー問題を幅広く話し合う「北東アジア友好協力条約」を結び、まずは信頼醸成と対話の促進を図ることなどを訴えている。
 レクナは2015年に非核兵器地帯創設を巡る最初の政策提言を発表した。18年の史上初の米朝首脳会談などで「朝鮮半島の非核化」が共通目標に掲げられたのを踏まえ、内容を拡充させた。各国専門家の意見も基に、韓国のシンクタンク世宗(セジョン)研究所とまとめた。
 長崎市の長崎大文教キャンパスで記者会見したレクナの吉田文彦センター長は「朝鮮半島の緊張緩和のチャンスを逃してはならない」と強調した。日韓関係は悪化しているが「核問題は異次元の共通の脅威。どんな関係にあろうと取り組むべき課題だ」と述べた。
 提言のうち、北東アジア友好協力条約については、「東南アジア非核兵器地帯」条約が1997年に発効するまでの過程を参考にした。中国やロシアも議論に巻き込むことや、朝鮮戦争を平和的に終結させることも重要と提言している。
 北東アジア非核兵器地帯の締約国には、条約発効後18カ月以内に、保有する核兵器・関連施設について完全で検証可能な廃棄をすることや、原発への攻撃禁止、核搭載可能な弾道ミサイルの使用禁止などを求める。
 提言は現在レクナのホームページに英語版で掲載。10月中にも日本語に翻訳し製本する。外務省や政治家、市民、非政府組織(NGO)との意見交換も進める考え。

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