「MHPS」から「三菱重工マリンマシナリ」へ 船用過給機 製造を移管 本工場に全工程集約

三菱重工マリンマシナリに製造が移管されるMET過給機(三菱重工業提供)

 三菱重工業は18日、グループ会社の三菱日立パワーシステムズ(MHPS、横浜市)に委託している船舶エンジン用過給機「MET過給機」の製造を、子会社の三菱重工マリンマシナリ(長崎市)に移管すると発表した。製造場所は三菱重工長崎造船所幸町工場(同市幸町)から本工場(同市飽の浦町)に移る。来年1月1日付。
 過給機は、エンジンの排出ガスをタービンで回収し、コンプレッサーでエンジンに燃焼空気を強制的に送り込み、船舶の推進力を増す装置。三菱重工マリンマシナリは過給機の開発から設計、製造、販売、サービスまでの全プロセスを一貫して担うようになり、運営の効率化で事業拡大を図る。
 三菱重工によると、移転先は蒸気タービン工場内。MHPSの従業員約60人が三菱重工マリンマシナリに転籍し、設備も移設する。蒸気タービン製造は日立工場(茨城県)へ集約を進めており、長崎では一部の中小型や地熱発電用を継続する。
 幸町工場は12月末で廃止し、2021年3月に通販大手ジャパネットホールディングス(佐世保市)へ引き渡す予定。跡地ではサッカー専用スタジアム建設が計画されている。
 三菱重工マリンマシナリの従業員数は135人(4月現在)。主力のMET過給機は、ライセンスによる海外製造分を含め年間約2千台を生産している。大型船搭載の世界シェアを4割から5割に引き上げる目標を掲げている。

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