L・M・モンゴメリの作品おすすめ5選!『赤毛のアン』の生みの親の生涯とは

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世界的ヒット作になった『赤毛のアン』の生みの親L・M・モンゴメリ。彼女の作品には、彼女自身をモデルにしたキャラクターが多く登場します。一体どのような人だったのでしょうか。この記事では、モンゴメリの生涯と、おすすめの作品を紹介していきます。

『赤毛のアン』の作者モンゴメリはどんな人?その生涯や作風を紹介

1874年生まれ、カナダ東部のプリンス・エドワード島出身のルーシー・モード・モンゴメリ。幼い頃に母親を結核で亡くし、それ以降、母方の祖父母に育てられました。一族は文才に恵まれていて、モンゴメリも影響を受けたようです。

1890年、サスカチュワン州に行って父親と継母と暮らし始めますが、1年ほどで再び祖父母のもとへ。この頃から本格的に作家を志すようになり、詩やエッセイが新聞などに掲載されました。

大学では文学を学び、教師としてキャリアを積んだ後に、亡くなった祖父を継いで郵便局員として働きます。その後、短期間だけ新聞社で働くのですが、この頃には短編が雑誌に掲載されるようになり、作家として名を知られるようになっていました。

1908年に初の長編小説『赤毛のアン』を発表。これが世界的なベストセラーとなり、一躍有名になりました。モンゴメリは「赤毛のアン」シリーズを含め、生涯で約20冊の長編と短編を刊行。彼女自身の生い立ちがモデルになっている物語が多く、舞台もほとんどがプリンス・エドワード島です。

情景が眼前に浮かぶような描写と、リアリティのある内容、そして読者に夢と希望を与える内容が魅力だといえるでしょう。

モンゴメリの代表作『赤毛のアン』

プリンス・エドワード島に暮らすマリラという女性と、その兄のマシュー。独身だった2人は、孤児院から男の子を引き取ることを決めました。

しかし約束の日にやって来たのは、赤い髪の毛をした11歳の女の子、アン・シャーリー。2人は驚きましたが、明るくおしゃべりな彼女の性格に心を動かされ、そのまま養子に迎えることにしました。

やがて近所に住む同い年のダイアナと親友になったアン。地元の学校に編入します。しかし上級生のギルバートから髪の毛の色をからかわれ、怒って彼の頭に石盤を落とし、学校を辞めてしまうのです。

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

作者:ルーシー・モード・モンゴメリ
出版社:新潮社
出版日:2008年02月26日

1908年に刊行されたモンゴメリの代表作。日本では1952年に村岡花子の翻訳で発表されました。主人公のアンの境遇は、幼い頃に両親と別れ、祖父母に育てられたモンゴメリ自身の経験がもとになっています。

アンは想像力が豊かで、美しいものが大好き。その一方でとてもおしゃべりで、思ったことは口に出す性格です。そんな彼女を、母親として引き取ったマリラが優しく見守り、大きな愛で包みこむ温かさが魅力です。さまざまな困難とぶつかりながらも、新しい家族や友人とともに乗り越え、文字通り成長していく過程をずっと見ていたくなるでしょう。

また『赤毛のアン』とその続編を含めた「アン・ブックス」というシリーズは、聖書、イギリスやアメリカの詩、シェイクスピアの作品から多数の引用がされているのが特徴です。物語の文学性を高め、深みを与えてくれています。

モンゴメリの実体験から着想を得た小説『可愛いエミリー』

両親を亡くした少女、エミリー。母方の伯母の家に引き取られることになり、農場で暮らし始めます。夢見がちな性格をしていたことから、伯母に変わった子だと認識され、たびたび衝突。しかしいとこのジミーや学校の先生に温かく迎え入れてもらったことで、少しずつ生活に慣れていきます。

そんな彼女はある日、亡き父親に向けて手紙を書くことにしました。

可愛いエミリー (新潮文庫)

作者:モンゴメリ
出版社:新潮社
出版日:1964年03月31日

1923年に刊行された作品。モンゴメリは、自身が幼い頃に書いた日記を読み返した際に着想を得たそうです。

エミリーが父親に向けて書いた手紙を中心に物語が進行していくのですが、この手紙が原因で伯母と幾度となくぶつかってしまいます。しかしエミリーはなかなか頑固で強気な性格で、自分の好きなことを諦めることはしません。自らの道は自らで切り拓くという意志の強さが感じられ、『赤毛のアン』のアンとはまた違った魅力を感じられるでしょう。

舞台となっている農場の、緑豊かな描写にも注目。こちらも『赤毛のアン』同じくプリンス・エドワード島です。

ハッピーエンドを楽しめる痛快小説『青い城』

内気な性格をしているヴァランシー。29歳の独身で、「オールドミス」といわれ周りからさげすまれていました。

そんな彼女の支えとなっていたのは、ジョンフォスターという作家の本。ちょうどその時読んでいた本に背中を押され、以前から気になっていた心臓の痛みを医者に診てもらうと、なんと余命1年を告げられてしまうのです。

青い城 (角川文庫)

作者:モンゴメリ
出版社:角川グループパブリッシング
出版日:2009年02月25日

1926年に刊行された作品です。

周囲の目を気にして自身を押し殺しながら生きていたヴァランシーですが、余命を告げられるとこれまで抑えていたものが爆発。家族と大喧嘩のすえに家を出ます。さらには、道中で出会ったバーニーに恋をし、自身の余命を理由に結婚をせがむのです。

彼女が本来もっている気の強さや頑固さは、『赤毛のアン』の主人公にも共通するもの。皮肉やユーモアも入り混じり、モンゴメリらしさを楽しめるでしょう。

最後まで希望を諦めなかったヴァランシーの物語は、ハッピーエンド。読者も幸せにしてくれる、痛快な作品です。

モンゴメリがプリンス・エドワード島の子どもたちを描く『ストーリー・ガール』

早くに母親を亡くしたベバリーとフェリックス兄弟。プリンス・エドワード島に暮らす親戚の家に預けられることになりました。

そこには、ダン、フェリシティー、セシリーという従兄妹がいます。近所に暮らす「ストーリー・ガール」と呼ばれるセアラ・スタンリー、彼女の家で雇われているピーター、友人のセーラを加えた8人の子どもたちが、大自然のなかでさまざまな体験をする物語です。

ストーリー・ガール (角川文庫)

作者:モンゴメリ
出版社:KADOKAWA
出版日:2010年01月23日

1911年に刊行された作品です。日本でも放送されたカナダのテレビドラマ「アボンリーへの道」の原作にもなっています。

セアラ・スタンリーが「ストーリー・ガール」と呼ばれる理由は、言い表せないほど美しい声で、まるで目の前で起こっている出来事かのように物語を語るから。ベバリーとフェリックス兄弟も、彼女の語るストーリーに胸を躍らせます。

作中ではとびっきり大きな事件などが起こるわけではありません。8人の子どもたちが、プリンス・エドワード島の自然のなかで全力で生きる日常と、その間に導入されるストーリー・ガールの物語が、読者の心を潤してくれるでしょう。

モンゴメリが描く親と子の成長物語『丘の家のジェーン』

トロントにある裕福な屋敷で、母親と祖母とともに暮らす11歳の少女ジェーン。祖母は厳格な性格でジェーンに厳しく接しジェーン自身も、自分が疎まれていると感じていました。

そんななか、死んだと聞かされていた父親から手紙が届きます。戸惑いながらもプリンス・エドワード島に行ってみると……。

丘の家のジェーン (角川文庫)

作者:モンゴメリ
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
出版日:2011年08月25日

居心地の悪い家、学校でも冴えない自分にうんざりしていたジェーン。プリンス・エドワード島に行き、対等に話をしてくれる父親と一緒の時間を過ごすうちに、少しずつ自信をもつことができるようになります。大きな愛情と豊な自然のなかで、なんにでも好奇心を抱く少女に成長していくのです。

一方のジェーンの母親は、娘を愛していましたが、祖母の圧力には逆らえず、手を差し伸べてあげることができないでいました。ジェーンが留守の間に、彼女も大きく心の成長を遂げます。

ラストは、ジェーンが両親の仲をとりもつまでに。プリンス・エドワード島という土地の魅力、そこで解放される少女の輝きが眩しく感じられる作品です。