高校・大学のダブル受験で家計が破綻?親子で考えるお金のこと

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、3年後に2人の子供の受験が重なるという43歳の共働き主婦。貯蓄は200万円、2人が私立になった場合に家計が破綻するのではと不安だといいます。FPのたけやきみこ氏がお答えします。

3年後に子供が大学、高校のダブル受験を控えています。学資保険には加入しておらず、今のペースでは2人とも私立になった場合、確実に破綻するのではないかと不安です。家計を見直すために格安スマホも検討しましたが、光回線をセットで契約しているため難しいです。私の収入を増やすしかないと思い、正社員での転職活動を始めましたが思うようにいきません。何から手をつけていいかわからず、ご相談させてもらいました。よろしくお願いいたします。

〈相談者プロフィール〉

・女性、43歳、既婚(夫:45歳、会社員)

・子供2人:16歳(高1)、12歳(中1)

・職業:会社員(契約社員)

・居住形態:持ち家(戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:42万円

・年間の手取りボーナス額:150万円

・毎月の世帯の支出目安:40万円

【支出の内訳】

・住居費:7.3万円

・食費:6万円

・水道光熱費:3.5万円

・教育費:5.6万円

・保険料:2.8万円

・通信費:4万円

・車両費:3.5万円

・お小遣い:4万円

・その他:3.3万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:2万円

・現在の貯蓄総額:200万円

・現在の投資総額:なし

・現在の負債総額:2500万円


たけや:お子様の受験が重なりそうですね。しかも、高校卒業後の進学と、高校進学となると教育費におかれましては心配になりますね。家計の見直しをされているようですが、倹約にも限界があることでしょう。

迫る進学時期に備えて家庭でできることと、親子で考えていただきことについてお話をさせていただきます。

教育費として捻出できる最大値を考える

現在の貯蓄額が200万円となっています。年間の手取りボーナス額が150万円ありますから、こちらに手を付けなければ、毎月の貯蓄額2万円と合算すると、年間174万円ずつ貯蓄が可能になります。しかし、現在の貯蓄額は期待以上の金額よりも少ない額に留まっています。ボーナスの使途が何かは不明ですが、こちらの見直しをすることで貯蓄額がふえる可能性があるのではないでしょうか。

以前に教育費に関連する記事を書かせていただきました(「奨学金を借りるのは本当に子どもの意思?」参照)が、ボーナスがもらえる家庭なら、まずここには手を付けずに貯蓄に回してほしいとアドバイスしています。

ご相談者様の場合、年間の手取りボーナス額である150万円をこれから3年間貯めるだけでも450万円も用意ができるのです。第一子のお子様の高校卒業後の進学において、私立大学理系の場合、この年間150万円のボーナスをそのまま使用できれば大部分の学費を用意することができます。ここは重要なポイントとなります。

そして、高校に進学される第二子のお子様が、仮に私立だったとしても、すでに高校生のお子様がいらっしゃるのでご存知だと思いますが、高等学校等就学支援金や都道府県における独自の授業料支援があります(年収による要件あり)。年収等の要件をご自身で確認し、私立高校へ進学した場合の家計負担はいくらになるのかを算出してみましょう。まずは、落ち着いて、一つ一つ解決をしていくことが大切です。

大学等への進学はお金の話をオープンにできる時

高校3年生になると、奨学金制度について説明会が開かれる学校が多くあります。ほとんどのご家庭では、お金について初めてオープンになる機会とも言えます。ご家庭で進学のために支出できる金額がいくらなのか、そして、いくら不足するのかを親子で膝を突き合わせて話してみましょう。

そして、誰がお金をいくら負担するのかを、きちんと決めなければいけません。親が負担するのでしたら教育ローンなどを利用できますし、お子様が負担するのでしたら貸与型の奨学金を利用することになります。なお、入学金など前期までに納入する教育費は、教育ローンを利用しなければ納入期日に間に合いませんので注意が必要です。

奨学金を借りると、社会人になった時に負債を抱えてのスタートになる

このように、家庭でお金についてオープンにできる貴重な機会になるとともに、進学そのものについて考えさせる機会でもあります。お子様は奨学金という借金をしてまで進学したいと考えるか、そうではないのか、その選択を考えさせる機会になってもいいのではないでしょうか。

借金をすれば、社会に出るときに負債を抱えてスタートすることになるため、完済するまで返済することが最優先になります。したがって、貯蓄をすることは当然後回しになります。本来ならできた貯蓄が思うようにできず、その影響は完済するまで続きます。お金を借りて進学することがお子様の人生設計に大きく影響することを、借りる前に、進学をするのかも含めて、親としてきちんと話してあげましょう。

高校卒業後に就職することも選択肢としてあるということを、話し合いのテーブルの上に取り上げてほしいと思います。将来、お子様がやはり大学で学びたいというのでしたら、学ぶ機会は就職した後もあるはずです。

進学がゴールにならないように

まずは、家庭で最大限に用意できるお金を考え、それでも不足する場合は、お金を借りるのか、就職をするのかという流れで、お子様と話し合ってみましょう。学力などが優秀であれば、特待生として大学で学ぶこともできますので、このような方法もあることもお子様に話してみましょう。

進学がゴールにならないように、お子様が何で稼いでいきたいのかを、親の経験や考えも踏まえながら、将来の人生設計を考える機会にできたらよいのではないかと思います。

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