横浜に「ファンゾーン」開幕 ラグビーW杯観戦、交流を

大型遊具の前で記念撮影に応じる田沼さん(中央)や廣瀬さん(左から2人目)ら。右奥がパブリックビューイングの大型モニター=横浜市西区の臨港パーク

 ラグビーワールドカップが開幕する20日、試合のパブリックビューイング(PV)などを楽しめるファンゾーンが横浜・みなとみらい21(MM21)地区の臨港パークにオープンする。市は期間中、約15万人の来場を見込んでおり、「横浜開催の7試合のチケットはほぼ完売。ファンゾーンで観戦、交流し、周辺の魅力も味わって」とPRする。

 決勝戦が行われる11月2日まで土日を中心に15日間開設。PVは全48試合のうち32試合を放映予定で、全国12の開催都市で最大級のモニター(380インチ)を設置した。地元の代表的なメニューなどを楽しめる飲食のブースやプレーの体験コーナーがあり、出場国の文化を紹介するステージイベントも予定されている。入場無料。

 関係者を対象とした19日の事前公開では、ともに元日本代表の田沼広之さん=横浜市=、廣瀬俊朗さん=藤沢市=らが観戦のポイントなどを解説。タックルやパスなどを体験できるアスリートチャレンジに挑戦した廣瀬さんは「海や芝生があって、最高の場所。多様な楽しみ方ができるので気軽に足を運んで」とアピールした。

◆「触れる機会 つくりたい」 リスペクト、多様性魅力

 元日本代表 廣瀬さん

 元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さん(37)=藤沢市=は「互いをリスペクト(尊敬)する精神や多様性を感じることができる」とラグビーの魅力を語る。

 「世紀の番狂わせ」と評された前回ワールドカップの南アフリカ戦。出場メンバーからは外れたが、日本代表の一員として歴史的勝利を現地で見守った。試合後、大金星の大きな感動とともに、グラウンドに広がる光景にラグビーの素晴らしさ、価値を再認識した。「敗れた南アフリカの選手たちが日本選手をたたえる姿があった。ラグビーには『戦っているこの試合をいい試合にしたい』という考えが選手、レフェリー、観客の全員に根付いている。南アフリカの選手もリスペクトする精神を忘れてはいなかった」

 ラグビーの本質を「多様性」と言い切る。

 「グローバルなスポーツ。さまざまな国の出身者が国籍の枠を超えて『このチームのために戦う』と団結するのが面白いし、これからの日本に必要だと思う」

 体が小さくても足が遅くても個性を生かしたポジションが用意されているのもこの競技ならでは。「ありのままの自分で活躍できる。自分を変える必要がなく、自己肯定感も高まる」。各地のグラウンドで、国籍も肌の色も育った環境も体格も異なる個性豊かな人々が一緒に楕円(だえん)球を追う姿を思い描く。

 今大会の参加チームの国歌や応援歌を現地の言葉で覚えて歌おうというプロジェクトを進め、ラグビーの魅力を伝えるテレビドラマにも出演した。大会期間中も全国を奔走し、「ラグビーに触れられる機会を多くつくっていきたい」

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