一日も早い復興を祈願…厚真で抜穂祭、秋の実りに感謝

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 胆振東部地震で甚大な被害を受けた厚真町桜丘159の水田で19日、新嘗祭に奉納される稲を刈り取る「抜穂祭(ぬいぼさい)」が行われた。被災した水田の所有者・森田明央さん(52)が参加し、一日も早い地域の復興を祈った。

 抜穂祭は五穀豊穣(ほうじょう)を願う新嘗祭(11月23日)に奉納するための稲を刈り取る神事。胆振・日高の青年神職会が2005年(平成17年)から、森田さんの父・春男さん(故人)が厚真神社の役員を務めていた縁で水田を借りて神事を続けている。

 昨年は地震の影響で水田の一部が土砂にのみ込まれる被害を受け、自宅を取り壊した森田さん。それでも、今年5月14日の田植えでは「令和に田植えができてうれしい」と話し、神職と一緒に田植えに汗した。4カ月が経過した水田では、たわわに実り、こうべを垂れる稲穂が田んぼを黄金色に染め、秋晴れの下、トンボが羽を休めていた。

 落ち着きを取り戻しつつある中で行われた神事では神職が祝詞をあげ、豊作と災害復興を10人の出席者と共に祈った。同神社の禰宜(ねぎ)・中村昇洋さん(42)は「町民と一緒に前を向いて一歩ずつ進んでいきたい」と力強く語った。神事後には、手刈りで180キロを収穫。日胆24神社のほか、三重県伊勢市の伊勢神宮にも奉納する。

 森田さんは「自然の怖さと豊穣への感謝の気持ちでいっぱい」と水田を見渡し「とりあえずスタートラインに立てたのかな」と震災1年を振り返った。今後の生活には「何が起きるか分からないので不安だが、一日一日に感謝しながら大事に生きていきたい」。

 2日ほど前から始めた7ヘクタールの稲刈りはピークを迎えている。(佐藤重伸)

【写真=復興への願いと豊穣への感謝を込めて行われた神事(上)、稲を刈り取る森田さん(下)】