“長嶋超え”の阪神ドラ1近本、新人安打数歴代2位の西武源田まであと1本

阪神・近本光司【写真:荒川祐史】

新人最多安打は1956年の佐々木信也氏で180安打

 阪神のドラフト1位ルーキー、近本光司外野手が19日のヤクルト戦(甲子園)の1回、右前打を放ってシーズン通算安打を「154」とし、1958年の長嶋茂雄(巨人)が持っていたセ・リーグ新人選手の安打数記録を61年ぶりに更新した。兵庫県立矢代高校では甲子園出場なし、関西学院大学、大阪ガスを経て、2018年秋のドラフト会議で阪神に1位指名され、入団した。

 オープン戦は68打数17安打で打率.262。一方、ドラフト3位入団の木浪聖也は59打数22安打で打率.373。ともに開幕スタメンを果たし、木浪が1番、近本が2番だった。

 シーズン開幕後は木浪が不調に陥る中、近本は順調に安打を重ねた。オールスターにもファン投票外野手2位で選出され、第2戦ではサイクル安打を記録してMVPに輝いた。以降も主に1、2番を打って順調に安打を積み上げ、自身136試合目で長嶋茂雄の記録を抜いた。

○セ・リーグ新人選手安打数5傑(近本の記録は9月19日時点)

1近本光司(阪神)2019年154安打/136試合 打率.274
2長島茂雄(巨人)1958年153安打/130試合 打率.305
3京田陽太(中日)2017年149安打/141試合 打率.264
4高橋由伸(巨人)1998年140安打/126試合 打率.300 
5江藤慎一(中日)1959年139安打/130試合 打率.281

 長嶋茂雄より6試合多い中での記録更新となった。近本の試合欠場は1試合だけ。開幕からのレギュラー起用に応えた。

 近本の上にはあと2人いる。

○NPB新人選手安打数3傑

1佐々木信也(高橋)1956年180安打/154試合 打率.289
2源田壮亮(西武)2017年155安打/143試合 打率.270
3近本光司(阪神)2019年154安打/136試合 打率.274

 1956年のパ・リーグは、NPB史上最多の154試合制だった。佐々木信也は新人ながらフル出場し、154試合中153試合に1番で出場し、180安打をマーク。高橋ユニオンズはこの年限りで解散するが、佐々木はユニオンズ史上ただ一人ベストナインに選ばれた。しかし、新人王は21勝6敗を挙げた西鉄・稲尾和久が受賞している。

 今季の阪神は残り6試合。近本が佐々木信也の安打数を抜くのはほぼ不可能だ。しかし一昨年の西武・源田壮亮の安打数まではあと「1」。新人選手安打数で史上2位になるのは確実だろう。

 近本は盗塁数も「34」として、ヤクルト山田哲人と1差でトップに立っている。新人での盗塁王のタイトルも見えてきた。

 新人王争いも行方が分からなくってきた。高卒2年目のヤクルト村上宗隆内野手は10代の選手としては史上最多の35本塁打(リーグ3位)、さらに95打点(リーグ2位)をマークしている(記録は9月19日時点)。こちらも球史に残る数字である。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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