悲願の日本リーグ制覇、いよいよ視野に 日光シリーズ連勝のリーベ栃木

ホッケー男子の日本リーグ1部レギュラーステージ(RS)第5節は8月31日、9月1日の両日、日光市ホッケー場で行われた。地元の大声援の後押しを受けたリーベ栃木は2戦2勝で日光シリーズを終え、RS2位で10月19、20日に東京で行われるファイナルステージ(FS)の進出を決めた。

日光シリーズ初戦の8月31日。山梨学院オクトーバーイーグルスとの試合は残暑が厳しい時季の開催となったが、試合開始が近づく午後3時頃になると、暑さが幾分、和らぎはじめた。学生チームに比べ平均年齢で上回るリーベにとっては好都合か。

会場の日光市ホッケー場は客席数はさほど多くないものの、地元チームの勇姿を見届けようと集まったファンで埋め尽くされた。地元小学生による和太鼓も披露され、会場の熱気もいや応なしに高まっていく。

午後3時10分、熱戦の火ぶたが切られた。互いに相手の出方をうかがいながらの立ち上がりとなったが、第1クオーター(Q)4分、リーベに待望の先取点が入る。ペナルティーコーナー(PC)からDF稲山巧が鮮やかにフリックシュートを決めた。このまま勢いに乗りたかったリーベだが、その後は相手の猛攻を受ける。厳しい時間帯が続いたが、GK手塚広佳の好守もあり、1点リードのまま第1Qを終えた。

ピンチの後にはチャンスが訪れる。続く第2Qも開始早々の4分、FW大嶋雄飛が押し込み、点差を2点に広げた。第3Q10分にもFW小沢諒がシュートを決めるが、山梨学院も負けじと12分に1点を返す。最終第4Qは山梨学院に再三攻め込まれたものの、今度はベテランGKの若林勝己が好セーブを見せ、ゴールを割らせない。その後も危ない場面が続いたが、何とか3―1で逃げ切った。

福田敏昭監督は「早めに先制できたことはよかったが、内容は決してよくなかった」と振り返った。攻撃陣に対しても「何とか3点は奪ったが、(好機を)外した場面もあった。あと2、3点は取りたかった」と厳しい表情を崩さなかった。

一夜明けての9月1日。前日よりは暑さを感じるが、やはり真夏の暑さではない。この日の相手は大学屈指の強豪の立命館ホリーズだ。先に行われた試合で首位の岐阜朝日クラブが勝利していたため、既にリーベのRS2位が確定していたが、地元の大声援を受けた選手の士気は高かった。

試合開始は午後2時40分。第1Q5分、リーベは相手ゴール近くで細かいパスをつなぎ、最後はFW大嶋がシュートを決めた。その後はいくつかチャンスをつくったものの攻めきれず、1―0で終えた。

勝てばFS進出圏内の3位となる立命館も、このままでは終わらない。第2Qは相手にペースをつかまれ、攻め込まれる場面が続いた。GKを中心に体を張った守備でしのぎ続けたものの、11分、自陣内でパスをつながれ失点し、同点に追いつかれた。続く第3Qは両チームとも見せ場をつくるものの、決定力を欠き無得点。勝負は最終第4Qに持ち込まれた。

ここからリーベが本来の強さを発揮する。第4Q4分、PCからDF稲山が得点し2―1とする。さらに8分には落合大将が豪快なシュートを決め、点差を広げる。終盤はパワープレーを仕掛けた立命館に対し、FW小沢、DF和田友道が続けて得点し、勝負を決めた。

福田監督は「内容的にもいい形で最後までプレーできた。今季のベストに近いゲーム。先制した後に悪い流れになりかけたが、しっかりパスをつなぐ意識を持ってプレーできていた」とたたえた。2日連続で得点を挙げた稲山は「やりたいホッケーができた。昨日よりもいいディフェンスができていたし、みんなが守ってくれたのが点につながった」と振り返った。

10月のFSは初日にRS3位の天理大学ベアーズと対戦。勝利すれば2日目にRS1位の宿敵・岐阜朝日クラブと雌雄を決することになる。今季RSの岐阜朝日との対戦成績は2戦2敗だが、シュートアウト(SO)戦負け、1点差負けと、いずれも僅差だ。福田監督は「個々の能力に優れたチームだが、うちも負けていない。組織で戦うことで勝機を見いだしたい」と力を込める。FSは1位通過が有利なことには違いないが、岐阜朝日は昨年、一昨年とRS2位から頂点に立っており、連戦の勢いがもたらす利点も無視できない。

日本リーグ1部参入1年目の昨年と比べ、攻守ともに成長を続けるリーベ栃木。悲願のリーグ初制覇が、いよいよ視野に入ってきた。

根津知広・文、写真 高木翔子・写真

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