IR関連費含む横浜市補正予算、自公の賛成多数で可決

IR誘致関連費を計上した一般会計補正予算案を賛成多数で可決した横浜市会本会議=20日午後3時55分ごろ

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致関連費2億6千万円を盛り込んだ横浜市一般会計補正予算案が20日、市会本会議で賛成多数で可決された。最大会派「自民党・無所属の会」と公明党が、ギャンブル依存症対策の推進など8項目からなる付帯意見を付けた上で賛成した。「白紙」を強調してきた林文子市長が一転、正式に表明してからわずか1カ月。市は誘致に向けた準備を本格化させる。

 採決では、議長らを除く84人のうち、自公計51人が賛成、「立憲・国民フォーラム」、共産党、無所属、神奈川ネットの計33人が反対した。

 採決に先立ち、各会派、無所属の計9氏が賛成、反対それぞれの立場から討論を行った。補正予算案が可決された瞬間、傍聴席からは「これでいいのか」「恥を知れ」などのヤジが飛んだ。

 本会議終了後、市長は報道各社の取材に9分間、応じ、「(治安悪化やギャンブル依存症患者の増加などどに対する)懸念や心配があることを改めて承知した」と可決の所感を述べ、市民の理解を得るために秋以降に全18区で開催する市民向け説明会で「丁寧に説明する」と繰り返した。

 民意を十分に反映していると思うかとの質問には、「二元代表制の中でやっているわけだから、今回の可決が民意を得ていない、と申し上げることはできない」と答えた。終了後、足早にラグビーワールドカップの試合会場に向かった。

 市は今後、コンサルタント会社などと委託契約を結び、IR区域整備計画の申請に向けた専門的な調査分析に着手。また事業者公募にあたり、市の考え方を示す「実施方針」を作成する。またギャンブル依存症の市内の実態調査なども行う。

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