吉岡里帆:アクション初挑戦 撮影に入る3、4カ月前からジムで鍛える「体幹のしっかりした体に」

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主演映画「見えない目撃者」について語った吉岡里帆さん

 女優の吉岡里帆さんが、目の見えない元警察官を演じる映画「見えない目撃者」(森淳一監督)は、吉岡さんにとっては2作目の主演作だ。「すごく大役のオファーが来たなという緊張感と喜びがありました。自分としても逃げてはいけない題材だと思いました」と語る吉岡さんに、今作での演技や撮影エピソードなどについて聞いた。

 ◇ハンデを抱える強いヒロインに魅了

 吉岡さんが演じるのは、目の見えない元警察官、浜中なつめだ。3年前、自らの過失による事故で視力と弟を失い警察を依願退職。以来、失意の中で暮らしている。ある日、なつめは、車と高校生の接触事故に遭遇する。その際、車の中から聞こえた少女の助けを求める声に事件性を嗅ぎ取り、その少女の行方を追い始める。

 「本当に難しい役柄であることもすぐに感じ取りましたので、しっかり準備期間を頂いた上でできるなら、ぜひ参加したいですという意思を伝えました」。オファーが来た際のことを、吉岡さんはそう振り返る。その言葉通り吉岡さんは、撮影に入る2カ月前から、女性警察官はもとより視覚障害者、盲導犬と実際に生活している人たちに取材し、役作りをしていった。

 脚本を読んだときは、なつめに対して、「すごく魅力的なキャラクター」という第一印象に加え、なつめから発せられる「目が見えないというハンデを抱えながらも、心の強さや、見えていないことがすべてではないというメッセージ」に魅了された。

 ◇演じながら「表情筋がどんどん落ちていく」感覚

 吉岡さんはなつめについて、「正義感にあふれる人」で、失明しても前に進もうとする強さの源を、「目が見えなくなったことで自暴自棄になったり自信をなくしたりと一度は心を閉ざしますが、そんな自分に助けを求めている人がいることに使命感を覚え、懸命に動き出したのだと思います」と分析する。そうしたなつめの「あきらめない精神」と「どんな困難があっても戦い続ける」姿には共感したという。

 その一方で、「目が見えないというハンデを持ちながらも弱さを感じさせない」ように演じることや、対峙(たいじ)する相手を見ているのに「見えていないように見せる」演技は「すごく難しかったです」と打ち明ける。

 なつめと自身の相違点をたずねると、「ここまで笑わないかな、というところですね。劇中でもほとんどのシーンで笑うことがなくて、表情筋がどんどん落ちていくように感じたくらいでした。ずっと怒っているか、悲しんでいるか、無になっているかで、喜ぶことが少ないキャラクターだったので、息苦しいだろうなと思いながら演じていました。そこは私とは全然違いますね。私、ゲラ(笑い上戸)なので(笑い)」と話す。

 ◇“ふたり”の強力な助っ人

 なつめは、車と接触した高校生、国崎春馬の協力を得て、被害者少女を捜し始める。春馬を演じるのは俳優の高杉真宙さんだ。高杉さんについて吉岡さんは、当初、「華奢(きゃしゃ)で、繊細な表現ができる、とても美しい青年というイメージが強かった」そうだが、撮影に入るとそれに加え、「ご本人はすごく優しい方で、普段から持っていらっしゃる相手に対する思いやりや包容力のある人」という印象が加わり、高杉さんと春馬が「リンクしているように感じた」という。

 なつめにはもう“一人”強力な助っ人がいる。それは、盲導犬のパルだ。演じたのは、俳優犬のオスの「パル」。もともと猫好きの吉岡さんだが、今回、パルとの共演で犬が大好きになったという。パルについて、「(撮影中も)ずっと楽しそうにしていて、緊迫しているシーンのときでも、尻尾をうわーっと振って、私のところに走って来てくれるんです。怒られてもへこたれないチャーミングさがあって、いたずらっ子でした。すごく可愛かったです」と目を細める。

 実際の盲導犬は、第三者が声を掛けたりなでたりしてはいけない。そのため今回の撮影でも台本の最初には、「盲導犬役のパルには触れないでください。目も合わせないでくださいというト書きがあった」そうで、パルに話しかけたり、触れたりしていいのは、吉岡さんだけ。それだけに吉岡さんは、パルとは「独特の関係性ができていると思っています」といったんは胸を張ったが、すぐに、「パルはどう思っているかはわからないですけど……(笑い)」と補足していた。

 ◇初アクションでの収穫

 吉岡さんは今回、射撃や犯人役の俳優との格闘など、自身にとって「新しいジャンル」のアクションにも挑戦することから、撮影に入る3、4カ月前からジムに通って体を鍛えた。ジムでの「めちゃくちゃスパルタ」のトレーニングでは、背中と二の腕の筋肉を重点的に付けた。そのかいあって、当初、ジムの人に、「こんなのでアクションしようと思っているの」と驚かれた体は、最終的には「ふにゃっとならない、体幹のしっかりした体になり、動きやすくなった」という。

 今作で収穫したことを聞くと、アクションには「精神的な苦労はある」ものの、それ以上に、「見せ方」が重要で、照明部や撮影部、音声部らスタッフとのコンビネーションがものを言うことから、「スタッフさんに対してのリスペクトが特に大きくなる作品でした」と答えた。さらに完成したものを見て、「編集の力だったり、音楽の力だったり、お客さんに楽しんでもらうためには、こんなにもパワーがいることだったのだと改めて感じました」としみじみ。そして、肝心のアクションついては、「楽しかったです。これからも挑戦したいです」と意欲を見せていた。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)