9月開業「新生オークラ」へ潜入、旧本館ロビーはどのように再現された?

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ホテル開業ラッシュが続く中で、2019年の大きなトピックが9月12日に開業した「The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)」でしょう。建て替えのため、2015年8月31日にホテルオークラ東京の本館が閉館。総工費1000億円を投じた4年に渡る壮大なプロジェクトでした。

ホテルオークラ東京の開業は1962年。イギリスのチャールズ皇太子やダイアナ妃、アメリカのクリントン大統領、ジョンレノンなど50年以上に渡り多くの著名人にも愛されてきたホテルです。日本を代表する伝統と格式があるホテルだけに、どのような変貌を遂げたのか注目度の高さも別格です。早速出向いてみました。


オークラスクエアと庭園を散策

到着してまず印象的なのが「オークラスクエア」です。大きな水盤が印象的なエリアで到着したゲストを迎える玄関でもあります。青空が映り込むような水面に思わず目を奪われますが、この巨大な水盤を設けるために大倉集古館(大倉喜八郎が設立した日本初の私立美術館)を6.5m移動させたというから驚きです。夜のライトアップも素敵なスポットです。

オークラスクエアを満喫したら坂を下って庭園の散歩も一興。枯山水の庭園で、水の流れを表現しています。春には梅や桜、秋には紅葉と四季を感じられる庭園です。驚くのが竹林。350本植え竹林の道ができました。毎日23時まで一般開放されているので、日中とは異なる夜の異なる表情を愉しむのもいいでしょう。何よりハードル高き高級ホテルにあって、ふらっと訪れ自然を楽しむのは気軽な贅沢時間です。

オークラ プレステージタワー と オークラ ヘリテージウイング

オークラスクエアへ戻りましょう。水盤を囲むように2棟の建物がそびえます。高層棟は「オークラ プレステージタワー」、中層棟が「オークラ ヘリテージウイング」。The Okura Tokyo は2棟でホテルが構成されています。もともと「オークラ プレステージ」は海外を中心に展開されていたブランドでしたが「オークラ ヘリテージ」は今回新たに作られたブランドで、ホテルオークラグループのトップブランドという位置づけです。

プレステージタワーは地上41階地下1階のタワーで、オフィスも入居しています。客室数は368室、うち10室のスイートルームを擁します。付帯施設としては、レストランが3つ、バーが2つ、フィットネス&スパ、バンケットルーム、ショッピングエリアなどと充実しています。客室フロアは28階から40階、標準的なタイプの客室面積が約50平米と余裕のあるステイが実現できます。高層階ならではの眺望も魅力でしょう。

一方、ヘリテージウイングは、地上17階地下4階、客室は140室あります。うち7室のスイートルームを擁します。平均的な客室面積はプレステージタワーと比べて広めの約60平米。全室にブローバスとスチームサウナを備える贅沢な空間です。ヘリテージウイングには2つのレストランはあるものの、プレステージタワーに比べると客室ステイに主眼の置かれた棟といえます。

ロビー再現への試行錯誤

ホテルオークラ東京は“日本モダニズムの傑作”といわれ、評価の高い建築としても知られていました。閉館時には、世界中から惜しむ声が届いたことは大きなニュースにもなりました。とりわけ大きくとりあげられたのが旧本館メインロビーです。オークラ・ランタン(照明器具)や梅小鉢とも称されるテーブルセットなどが配され、多くの人々に愛されてきた空間でした。

今回の開業でもセーブ・ザ・オークラの象徴的なスポットとして、旧本館ロビーの再現に注力したそうです。工法から素材、寸法などあらゆる角度から徹底して調査、膨大な再現資料が作成されたとのこと。オークラ・ランタンも形は当時のままにして電球はLEDを用いる必要があり、光の色合いや加減が以前に近づけるべく試行錯誤もなされました。

また柵の高さやスプリンクラーの設置など、当時とは異なる法令との整合にも苦労したとのこと。満開の梅の花をイメージする梅小鉢の椅子は、張り替えはしたものの当時のものを使用。とにもかくにも再現への並々ならぬ努力がうかがえます。“そっくり”“真似事”という声も聞こえてきそうですが、実際に出向くと、どことなく懐かしさに抱かれるような雰囲気があり、単なる再現ではないというオーラを感じます。

さらに大きくなった平安の間

国際会議や著名人の結婚式でも知られた伝統の「平安の間」もグレードアップ。旧平安の間は1,500平米でしたが今回2,000㎡に、最大収容人数は1,000人から2,000人になりました(用途に応じて分割可能)。壁紙は大倉集古館に収蔵されている古今和歌集の原本をイメージしており、全て和紙で出来ています。

まだまだ紹介しきれませんが、レストラン、フィットネス&スパ、スカイチャペルなど注目すべきスポットは数多くあるので、また別の機会に紹介できればと思います。「日本の伝統美の承継と革新、和のこころをもって世界をもてなす」を謳うThe Okura Tokyo。東京ホテルシーンの新たなメルクマールの誕生ともいえそうです。