インディカー最終戦:5位以内で王者獲得のニューガーデン。ロッシとパジェノーの逆転となるか?

 2019年のインディカー・シリーズが最終戦を迎えた。その舞台となるのは、アップダウンの激しい全長2.238マイルのロードコース、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカ。

 カリフォルニア州の大都市サンフランシスコ近郊にあるサーキットは、2輪のワールドGPやクラシックカーフェスティバルの開催コースとして世界に名を馳せているが、アメリカントップオープンホイールのレースを行うのは、2004年以来と久しぶりだ。

 今年もインディカーのチャンピオン争いは最終戦までもつれ込んでいる。これで14年連続となる。

 16戦を終えてのポイントリーダーは、28歳のアメリカン、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。

 開幕戦のセント・ピーターズバーグで優勝した彼は、ダブルポイントのインディ500終了時点を除き、ずっとポイントトップを走り続けてきた。

 デトロイトのレース1、テキサス、アイオワでも勝利したニューガーデン。優勝4回は今シーズンの最多となっている。2017年に初めてシリーズチャンピオンに輝いたニューガーデンは、その時も僅か3点差ながらポイントトップで最終戦を迎えていた。今年の彼はランキング2番手に41点の大差をつける593点を稼いでいる。

コークスクリューを走行するジョセフ・ニューガーデン

 最終戦は、ポイントが普段のレースの倍となるダブルポイント制。ニューガーデン以外でチャンピオンとなる可能性を有しているドライバーは、3人いる。

 ランキング2番手はカリフォルニア州出身の27歳、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。3番手は今年のインディ500ウイナー、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。フランス出身の35歳だ。

初の王者獲得を目指すアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)
ランキング3位のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)

 そして、ランキング4番手にはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がつけている。ニュージーランド出身、現在39歳のディクソンは昨年を含めて通算5回のタイトル獲得経験を誇り、ニューガーデン(2017年)とパジェノー(2016年)は1回ずつチャンピオンになっている。ロッシは未だ無冠だ。

 ロッシがニューガーデンと41点差で、パジェノーは42点差。実質的に、チャンピオン争いはこの3人の間で繰り広げられる。ディクソンは85点と逆転タイトルは非常に難しい状況にあるためだ。

連覇は厳しい状況となったスコット・ディクソン

 ニューガーデンの優位は、確かに大きい。ロッシは優勝しても、ニューガーデンが5位以内ならランキングの逆転を実現することはできない。ロッシ以下の3人は、「優勝だけを考える」という考えでレースに臨むことになる。それ以外には、もうほとんどタイトルを手に入れる道は残されていないからだ。

「全然気持ちの余裕なんて持てない。5位でゴールすればチャンピオンというが、今のインディカーで5位フィニッシュするのは簡単ではないからね」とニューガーデンは言っている。

 2015年には凄い逆転劇があった。ポイントリーダーのファン・パブロ・モントーヤが、5位でゴールできればチャンピオンという状況で6位フィニッシュ。当時3人いたチームメイト全員がモントーヤより前でゴールしたことにより、ディクソンがモントーヤと同点になって、優勝回数の多かったディクソンがその年のチャンピオンになったのだ。

「優勝するしかない。そうできれば、タイトルとレースでの優勝を祝うことができるし……」とロッシ。彼には3人のチームメイトと、技術提携するチームで走る1人のドライバーがいる。ロッシとすれば、自らがレースをリードし、チームメイトたちがニューガーデンとの間に入ってフィニッシュしてくれれば……と願わずにはいられないだろう。

 ランキング3番手のパジェノーは、ロッシやディクソンに比べると複雑な立場だ。

「自分がチャンピオンになれないとわかった段階からは、チームメイトのニューガーデンがタイトルを獲れるよう全力でサポートする」と彼はコメントしている。

 最終戦、勝利の女神がほほ笑みチャンピオンを獲得するのは、どのドライバーか? 決勝レースは、現地時間22日12時(23日4時)にスタートが切られる。

4人のドライバーがシリーズチャンピオンをかけて最終戦に挑む

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