長崎県内全養豚場に防護柵 県が対策会議 年度内に整備完了

 豚コレラの感染が国内で拡大し、韓国でもアフリカ豚コレラが発生したことを受け、県は20日、庁内で対策会議を開き、発生状況や防疫対策を確認した。ウイルスを媒介する野生イノシシとの接触を防ぐため、国の緊急対策事業を活用し、県内の全養豚農場に外部からの侵入を防ぐ防護柵の設置を進めるという。
 畜産課によると、県内の養豚農場は92戸。他に9戸がペットとして豚やイノシシを飼育している。抗体検査などを実施しており、感染は確認されていない。
 防護柵は未設置の農場65戸が対象。養豚農場の周囲にネットフェンスなどを整備し、イノシシの侵入を防ぐ。年度内に整備を完了する見込み。
 対策会議には国、県の畜産、防疫関係者や県内の養豚、食肉関係者ら約40人が出席。中村功農林部長は「情報共有と対策を再確認したい。早期通報や農家への指導をお願いしたい」と呼び掛けた。
 防疫対策として豚の健康観察や早期通報・相談、野生動物の侵入対策、消石灰の散布、消毒などを確認。県は、飼養衛生管理基準の順守確認や指導を徹底していることなどを報告した。
 参加者からは韓国に近い対馬で死亡したイノシシの検査強化や、汚染地域の飼料米を使わない規制が必要との意見が出た。
 豚コレラは昨年9月に国内では26年ぶりに感染が確認され、これまで岐阜、愛知、長野、三重、福井、埼玉の6県の養豚場などで発生している。

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