パパコーチに捧ぐ 名スコアラー三井の少年野球メソッド4 前後ステップで軸を知る!

巨人でスコアラーを務めた三井康浩氏【写真:編集部】

元・巨人、侍ジャパンスコアラー三井康浩氏 連載第4回「自宅でできる打撃ステップ」

 Full-Countでは少年野球上達のためのメソッドを連載中。元巨人で2009年WBC侍ジャパンチーフスコアラーを務め、長年、分析のプロとして活躍してきた三井康浩氏が少年野球指導の仕方をお伝えします。第4回は「動から動のバッティング」です。

 バッティングというのは、止まっている中で動き出すよりも、基本的に動きの中でボールを捉えた方が楽です。前、後、前、後で重心を移して、壁を作って、その前でバットを走らせる。そんな動きを練習で取り入れてみるのはいかがでしょうか?

 ポイントは3つですね。1つ目は、捉えるための間合いを作る。2つ目は前に出て行った時、後ろの足を上げることで、前の足のところに壁を作る。3つ目が、壁がのできたところでスイングをする。そのようにすると、自分でもバットの走りがいいか悪いかがわかります。

 今の子供たちを見ていると、プロ野球選手のマネをして、“大砲打ち”になってしまっているのをよく目にします。大砲打ちとは解説動画でも見ていただければわかりますが、重心が後ろになるだけでそのままひっくり返っている打ち方です。気をつけないといけないのが、プロの選手は大砲打ちのように見えても、投手に一度、向かって行っています。そこから後ろにバックし、軸足中心の打ち方をしています。子供のスイングはスロー映像、連続写真を見ると、前に打ちにいかずにそのまま後ろにそっくり返ってしまっています。

 そうなるとまっすぐに詰まって、泳いでしまいます。小学生のうちはいいのですが、中学、高校になっていくと、投手の球が速くなったり、変化球が多くなってくる。そうすると、対応が難しくなってきてしまいます。小学生のうちに前後のステップで軸の使い方を覚えておくといいと思います。

 バッティングは前のステップをするだけで8割が終わっているイメージです。前の足が着地したら、あとはお尻を回すだけ。前足で打ちにいって、あとは回すだけ。大谷選手(エンゼルス)も前の壁を作って、そこからバットを走らせて、遠くに飛ばしています。

 プロの選手でも動から動の意識をしています。小さな動き、リズム作っています。私が巨人時代見ていた松井秀喜さんはボールが来るまでの間、どこか体で待ちながら、スイングしていました。この形が自然体で、必ずやっていました。バットを持たなくても、子供たちには前・後・前・後のステップを1度の練習で10~20回、やりながら丁寧にバッティングのイメージをしていくことがいいと思います。(三井康浩 / Yasuhiro Mitsui)

プロフィール
三井康浩(みつい・やすひろ)1961年1月19日、島根県出身。出雲西高から78年ドラフト外で巨人に入団。85年に引退。86年に巨人2軍サブマネジャーを務め、87年にスコアラーに転身。02年にチーフスコアラー。08年から査定を担当。その後、編成統括ディレクターとしてスカウティングや外国人獲得なども行った。2009年にはWBC日本代表のスコアラーも務めた。松井秀喜氏、高橋由伸氏、二岡智宏氏、阿部慎之助選手らからの信頼も厚い。現在は野球解説者をしながら、少年野球の指導、講演なども行っている。

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