増税対策『プレミアム付き商品券』 長崎県内 申請伸び悩み 周知不足、手続きに手間

増税に合わせて市町が発行するプレミアム付き商品券。写真は長崎市分の見本

 10月の消費税増税に伴い、低所得者など一部の世帯が購入できる「プレミアム付き商品券」の購入申し込みが長崎県内で伸び悩んでいる。長崎新聞が21市町の申請率を調べたところ、20%未満が最も多く計13市町。最高でも30%台で計3市町にとどまった。周知不足や手続きに手間が掛かることなどがネックのようだ。各市町は申請期間の延長を検討するほか、広報誌などで“お得感”をPRしていく。

 商品券は、増税に伴う家計負担の軽減などを目的に、国の補助を受けて各市町が販売する。住民税が非課税の低所得者と、9月末時点で3歳半未満の子どもがいる世帯が購入できる。子育て世帯は事前申請がいらず、購入引換券が届く。低所得者は、市町から送付された交付申請書への記入と返信が必要。引換券が届いた後、指定された販売所で購入する。商品券は登録店舗で使用でき、期限は最長で来年3月末まで。
 「手間が掛かり、敬遠されているのかも」。申請率が約20%の五島市の担当者はこうみる。該当者に申請の手順を説明すると、書類を提出する手間が掛かることを理由に「申請しない」と言われた。北松佐々町でも「10人以上」が“辞退”したという。周知不足を挙げる市町も複数あった。
 商品券のメリットは25%の上乗せがある点。1冊(5千円分)を4千円で販売。対象者は5冊まで購入でき、2万円の負担で2万5千円分の買い物ができる。
 プレミアム付きの商品券は、2015年にも地方創生の一環で発行された。前回は購入対象者を限定しておらず、販売日には多くの市町で長い行列ができた。前回、発売から約20日で完売し「勢いがあった」という平戸市は今回、想定した70%に及ばず10%台。東彼東彼杵町も「前回に比べて慌てて買う必要がない、とみる人が多いのかもしれない」とし、申請受付の期間延長を検討している。
 対馬市は出費が増える年末にかけて申請数が伸びてくると期待。長崎市は広報誌などで浸透を図る。
 県は「商品券は地域の消費を下支えする狙いもある。該当する人は申請し、店舗側も登録参加に協力をお願いしたい」としている。

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