第71回エミー賞予想~現地メディアはどう見る?【リミテッド・シリーズ/TVムービー部門】

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アメリカTV界にとって年に一度の祭典、第71回エミー賞授賞式が日本時間9月23日(月・祝)に行われる。各カテゴリーで魅力的な作品や俳優などが候補に挙がる中、【ドラマ・シリーズ部門】、【コメディ・シリーズ】、そして【リミテッド・シリーズ/TVムービー】部門の主要部門について、現地メディアの予想をまとめ、受賞の行方を様々な視点から追ってみよう。第3回目の本日は【リミテッド・シリーズ/TVムービー部門】からご紹介。

■リミテッド・シリーズ作品賞

『チェルノブイリ』...対抗
『Escape at Dannemora』...大穴
『Fosse/Verdon』
『KIZU-傷-』
『ボクらを見る目』...本命

ノミネーション数で見ると『チェルノブイリ』が最多19、続いて『Fosse/Verdon』が17を記録しているが、最有力候補はそれらより少ない16ノミネーションのNetflixオリジナルドラマ『ボクらを見る目』。この物語は「セントラルパーク・ファイブ」と呼ばれた、婦女暴行事件の自白を不当に強要された黒人とラテン系の少年5人の実話を描くシリーズ。公開前から関心が寄せられ、配信が始まってからも少年たちの心に迫る演技に多くの視聴者の心を引きつけた。

一方で、最多ノミネーションの『チェルノブイリ』は旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故の真実に迫る物語。いつ爆発が起きてもおかしくない、その可能性が潜んでる危険性を思い返させる緊迫した物語で、幅広い批評家から称賛を集めた。

■TVムービー作品賞

『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』...対抗
『ブレグジット EU離脱』...大穴
『デッドウッド ~決戦のワイルドタウン~』...本命
『King Lear』
『エルヴェとの晩餐 ある映画スターの数奇な人生』

『ブラック・ミラー』は、2017年の「サン・ジュニペロ」と2018年の「宇宙船カリスター号」でこのカテゴリーを席巻した。今年ノミネートされた「バンダースナッチ」は主人公のストーリーを視聴者が選ぶことにより、何通りもあるエンディングにたどり着くことのできるインタラクティブな作品で、ドラマに革命を起こした。

しかし、このカテゴリーより多くの関心を引いているのは、米HBOで2004年から3シーズン放送された『デッドウッド ~銃とSEXとワイルドタウン』のリバイバル版『デッドウッド ~決戦のワイルドタウン~』。ここ数年、エミー賞で最大のライバルとなっているHBOとNetflixの熱戦が今年も繰り広げられそうだ。

■主演男優賞

マハーシャラ・アリ『TRUE DETECTIVE/迷宮捜査』...大穴
ベニチオ・デル・トロ『Escape at Dannemora』
ヒュー・グラント『英国スキャンダル ~セックスと陰謀のソープ事件』
ジャレッド・ハリス『チェルノブイリ』...対抗
ジャハル・ジェローム『ボクらを見る目』...本命
サム・ロックウェル『Fosse/Verdon』

主演男優賞の最有力候補は、リミテッド・シリーズ作品賞でも注目され、本命と言われている『ボクらを見る目』のジャハル・ジェローム。現在21歳のジャハルは、たった4話のこのドラマの中で、不条理な社会制度の問題に直面するティーン時代から、刑期を終える20代後半までを見事に演じきっている。

そんな彼の対抗馬が同じく作品賞で競っている『チェルブイリ』のジャレッド・ハリス。また、2017年の『ムーンライト』、2019年の『グリーンブック』でオスカーを手にしているマハーシャラ・アリの存在も忘れてはならない。

■主演女優賞

エイミー・アダムス『KIZU-傷-』...大穴
パトリシア・アークエット『Escape at Dannemora』...対抗
アーンジャニュー・エリス『ボクらを見る目』
ジョーイ・キング『The Act』
ニーシー・ナッシュ『ボクらを見る目』
ミシェル・ウィリアムズ『Fosse/Verdon』...本命

主演女優賞のフロントランナーは『Fosse/Verdon』で創作活動に情熱を燃やしながら、そのクリエイティブパートナーとの複雑なロマンスに身を投じた、実在した女優兼ダンサーを演じたミシェル・ウィリアムズ。ボブ役のサム・ロックウェルとともに魅力的で危うげな空気感を醸し出し、視聴者の心を掴んだ。

そんなミシェルを追うようにパトリシア・アークエットの名も挙げられている。『Escape at Dannemora』は、2015年にニューヨークで実際に起きた二人の囚人の脱獄事件を描いており、細部までリアリティに満ちた本作で、パトリシアは囚人たちに惑わされ逃亡の手引きをしてしまう女性の心情の変化を絶妙に演じている。

■助演男優賞

アサンテ・ブラック『ボクらを見る目』
ポール・ダノ『Escape at Dannemora』
ジョン・レグイザモ『ボクらを見る目』
ステラン・スカルスガルド『チェルノブイリ』...対抗
ベン・ウィショー『英国スキャンダル ~セックスと陰謀のソープ事件』...本命
マイケル・K・ウィリアムズ『ボクらを見る目』...大穴

『ボクらを見る目』から3人がノミネートされたが、各メディアはこの3人は票が分かれてしまうために受賞の可能性は薄いだろうと予測。その愛らしい魅力で女性の心を掴む英国俳優ベン・ウィショー、『マンマ・ミーア!』や『アベンジャーズ』など数々の映画に出演しているスウェーデンのベテラン俳優ステラン・スカルスガルドのどちらかでは?という見方が最も多い。

■助演女優賞

パトリシア・アークエット『The Act』...対抗
マーシャ・ステファニー・ブレイク『ボクらを見る目』
パトリシア・クラークソン『KIZU-傷-』...本命
ヴェラ・ファーミガ『ボクらを見る目』
マーガレット・クアリー『Fosse/Veron』
エミリー・ワトソン『チェルノブイリ』...大穴

助演女優賞は、『KIZU』で富豪の出身で世間の声を気にして娘たちを過度に干渉する母親を完璧に演じきったパトリシア・クラークソンが大本命。『Escape at Dannemora』で主演女優賞にもノミネートされているパトリシア・アークエットは、『The Act』では娘を車椅子に乗せ歪んだ愛情で縛り付ける母親の複雑さを巧みに演じており、主演女優賞よりも受賞の可能性が高いと言われている。

第71回エミー賞授賞式は、日本時間9月23日(月・祝)に米ロサンゼルスのマイクロソフトシアターで開催される。FOXチャンネルでは午前9時から二カ国語版(同時通訳)で、今年も日本独占生中継。午前8時からはレッドカーペットも生中継予定。海外ドラマNAVIでも速報をお届けするのでお楽しみに!

【ドラマ・シリーズ部門】
【コメディ・シリーズ部門】

今回参考にした米メディアは以下の通り。
(Indie Wire, Variety, Los Angeles Times, Gold Derby, Deadline)

(翻訳/Ai Ono)

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