すさまじい風雨

 夕方、長崎市内で車を走らせていると、橋を通過中に赤信号にかかった。止まっていると強い横風で橋がぐらぐらと揺れ、恐ろしくて「早く青に変われ」と心で祈る。そばではバイクの男性が背を丸め、ハンドルを握りしめていた▲台風17号の影響で、きのう県内はすさまじい風雨にさらされた。車をさらに走らせると、倒れた街路樹を警察官が何人かで移動させていた。バス停のベンチは横倒しになり、バイクが倒れているのも見えた▲身の回りはご無事だったろうか。暴風が吹き荒れ、びゅうびゅう鳴り、不安な夜を過ごした方も数多くいるに違いない。きのうは交通の便も乱れた▲先の台風15号で家屋の損傷など被害の大きかった千葉県では、激しい風雨が心配される。災害にやられた土地が、間を置かずにもう一度被災することは、ここ数年だけでも何回となくあった。ブルーシートの目立つ被災地から、また悲鳴の上がらないようにと祈る▲風だけでなく、雨の心配もまた尽きない。地盤が雨で緩んでしまえば、土砂災害にも警戒を要する。気を引き締め続けるほかない▲「台風一過」とは台風が過ぎ去った後の晴れやかな天候をいうが、街路樹は倒れ、バス停のベンチは横倒しという町の様子を目にすれば、台風の去った後でも心は曇ったままだろう。(徹)

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