五輪に向けて交流の夏 各国代表選手と藤沢の児童ら

ノルウェーの選手の指導を受けセーリングを陸上体験する児童=藤沢市江の島

 東京五輪を来年に控え、江の島でセーリング競技が行われる藤沢市では今夏、海外の選手と市内小中学校の児童・生徒との交流が活発に行われた。五輪のレガシー(遺産)を未来へ継ぐため、子どもたちの参加意識を醸成しようと、市は世界各国の選手が同市を訪れるテストイベントやワールドカップ(W杯)の機会を捉え、七夕の飾り付けやセーリング艇への試乗などさまざまな交流事業を企画。1964年以来、2度目の五輪開催へ向けた機運が高まってきた。

 江の島では8月17~22日にセーリング競技のテストイベント、同25日~9月1日にW杯が開催された。参加した外国人選手は練習や実戦の合間を縫って、子どもたちと触れ合う機会を持った。

 8月23日には、市立長後小学校(同市長後)の児童や保護者30人が江の島ヨットハーバーを訪問し、米国チームと交流。児童たちは、応援メッセージやイラストをシートにして、チームの機材を運ぶためのコンテナに貼り付けた。また、市内農家がエダマメやナシ、ブドウなどの藤沢特産品を選手や児童、保護者に振る舞った。

 市立村岡中学校(同市弥勒寺)では同24日、オーストラリアチームを前に、吹奏楽部の演奏や家庭部の盆踊りを披露。チームの監督や選手は、世界を舞台にした競技経験を通じ、セーリングの魅力を伝えた。

 競技会場に近い私立湘南白百合学園(同市片瀬目白山)では、小学校から高校まで全校挙げて積極的に交流。7月12日には、江の島ヨットハーバーで同学園小学校4年の108人とスペインチームの選手が、ササの葉に願いを書いた短冊を飾り付け、七夕の雰囲気を共有。翌13日には、同学園カフェテリアで、中高生と香港チームの選手が香港をテーマにしたランチを囲み、セーリング競技に対する質疑などを行った。

 このほか、ノルウェーチームの指導の下、市立天神小学校(同市天神町)の児童が陸上でセーリング競技を体験するなど、競技を知る機会も提供された。

 同市東京オリンピック・パラリンピック開催準備室は「外国人選手との交流を通じ、子どもたちは地元で行われるセーリング競技を身近に感じ、地元での五輪開催に対する実感が深まったのではないか」と話している。

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