親の被爆「健康脅かす」16% 長崎大院生が2世意識調査 一定層 不安抱える

 長崎県内の被爆2世138人のうち16.7%が、2世であることは自身の健康を脅かす原因と考えていることが、長崎大大学院生による意識調査で分かった。被爆者や2世の健康を日米共同で追跡調査している放射線影響研究所(広島市、長崎市)によると、親の被ばくに伴う遺伝的影響はこれまで確認されていない。それでも一定層が不安を感じている現状が示された。
 長崎大大学院災害・被ばく医療科学共同専攻(保健看護学コース)の大石紘大さん(23)が調査した。「今後、2世がどんな情報を基に不安を抱いたり、抱かなかったりするのか分かれば、2世に寄り添う手掛かりになる」と話している。
 調査は1~2月、長崎原子爆弾被爆者対策協議会が長崎市と県の委託を受け実施した被爆2世健康診断の受診者を対象に質問票を配布。40~60代を中心に男性45人、女性93人が答えた。
 それによると、健康不安がある人は38.4%で、親のがん罹患(りかん)が主な要因とみられる。自身を「健康ではない」と考えている人は26.1%。子を持つ2世(107人)のうち「子どもができたときに不安を感じた」人は19.6%だった。
 東京電力福島第1原発事故に伴う放射線被ばくが「次世代の健康に影響を与える」と思う人は全体の84.7%に上った。福島県の調査では、原発事故が起きた2011年に避難区域の住民だった人などのうち、次世代の健康に影響する可能性が「高い」「非常に高い」と答えた人は11年度の計60.2%から、17年度は計37.2%へ下がっている。
 大石さんは「福島では放射線への理解が深まっているが、長崎では原爆に由来する放射線への負のイメージに加え、福島の現状もよく分からないため懸念する人が多いのではないか」とみている。

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