Suica使えない青森の在来線 費用対効果がネック? 「導入予定なし」とJR東

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JR新青森駅の在来線改札口のホワイトボードには、スイカが使えないというお知らせが書かれている
在来線改札でスイカを使える駅が一つもない青森県。不便さを感じている鉄道利用者は多い

 「盛岡駅の改札でなぜSuica(スイカ)が使えないのか」。東奥日報紙「あなたの声から『フカボリ』取材班」のパートナー社、岩手日報の特命取材班がこのような声を報じた。一部の駅でスイカが使える岩手県と異なり、青森県は在来線の改札でスイカが使える駅は一つもない。県内の利用者はどう受け止めているのか。そして導入のめどは-。

 「スイカ使えないんだね」。JR新青森駅の在来線改札口。大きな荷物を抱えた観光客とみられる女性が、構内の掲示に目を留め、驚いたようにつぶやいた。

 スイカは鉄道やバス、買い物などで利用できるJR東日本のICカード。改札機の読み取り部にタッチするだけで自動的に精算でき、スムーズに通過できる。読み取り端末のある店舗では電子マネーとして買い物に使うことができる。

 首都圏はもちろん、東北の在来線では仙台市を中心とした仙台エリア内の宮城、山形、福島の一部の駅で利用できる。岩手県内も一ノ関、平泉の2駅で使える。一方で青森県と秋田県は在来線で使えない。なぜなのか。

 JR東の広報担当者は、現時点で青森県の在来線にスイカを導入する予定はない-とした。そして「スイカのエリア拡大については駅や線区の利用状況、導入に伴い見込まれる効果などを総合的に勘案し判断している。未導入線区への導入はコスト面でハードルが高いのが現状」と説明する。費用対効果が見込めないというのだ。

 同社によると、2018年度の1日平均の乗車人員は青森駅5397人、弘前駅4497人、八戸駅4489人、新青森駅3933人。どの程度の利用者がいれば導入を検討するのか尋ねたが「乗車人員による実現可能性については回答を差し控える」とのことだった。

 スイカを利用できる地域で暮らしたことのある市民や、首都圏への出張などで使い勝手の良さを実感したことがある市民は、やはり不便を感じているようだ。

 仙台市出身の男性会社員(34)=青森市=は「高校生のころからスイカを使っている。県内で使えないのは不便だと感じる。どこまでの料金がいくらなのかいちいち調べないといけない。スマホで時刻や料金を調べるのは年配の人にとっては大変では」と話す。東京都出身で今春から青森市で暮らす男性会社員(23)も「小学生のころからスイカを使っており、毎回切符を買う習慣はない。県庁所在地にある青森駅ですら使えないのはびっくりした」と話した。

 在来線では導入のめどが立たないものの、新幹線では県内も利用可能だ。JR東は、青森県を含む新幹線全駅で「モバイルスイカ特急券」サービスを導入。モバイルスイカに対応したスマートフォンなどで事前に決済後、スマホを改札でタッチすればチケットなしで新幹線に乗車できる。

 さらにJR東はモバイルスイカ特急券に代わり、本年度末を目標に新たな新幹線IC乗車サービスを導入する。スマホがない場合でもICカードをタッチすれば新幹線を利用できるようになるほか、複数人での乗車にも対応する。