富山県魚津市の廃校に一夜限りの夢のレストランが出現!とやま学びレストラン「ReSCHOLA(レスコラ)」

2019年9月24日
北日本新聞社

【プロジェクト・リポート】
富山県魚津市の廃校に一夜限りの夢のレストランが出現!
とやま学びレストラン「ReSCHOLA(レスコラ)」
世界有数の独特な地形が生む、
富山県の豊かな環境とその多様性を“食”を基点に
発信する活動「ReSCHOLA(レスコラ)」プロジェクトが始動。

第2回は11月9日(土)南砺市利賀村
旧・坂上小学校(スターフォレスト利賀)での開催が決定。

北日本新聞社は、プロジェクトのオープニングとなる第1回目のイベントを2019年6月15日(土)に富山県の旧・魚津市立大町小学校体育館にて開催。富山湾を代表する海の幸「白えび」をテーマ食材に地元と県外から招かれた一流シェフが共同でコースメニューを振る舞いました。

レストランの語源であり「回復」を意味するrestoreと、「学校」を意味するラテン語scholaから名付けられた「レスコラ」は、少子化や人口減少により県内で休校や廃校になる学校が相次いでいる問題を背景に、県内各地の休・廃校を巡り、そこをレストランとして再利用することでそれぞれの地域の魅力を伝える継続的な活動です。料理人、音楽家、アーティストらが生み出す、一夜限りの夢のような空間と、その空間そのものが富山県のプレゼンテーションとなるような創意工夫を凝らした演出。「レスコラ」は、サービスを提供する側とそこに参加した人々が、そんな一度きりの特別な時間を共創することを通じて“富山を知る”きっかけとなることを目指します。記念すべき初開催の舞台は、2018年に4校の統合で休校となった旧大町小学校の体育館。当日は、5倍の抽選倍率の中から選ばれた老若男女50人が参加しました。

■富山湾を代表する海の幸「白えび」をテーマに、両シェフが共同で1つのコース料理を提供
料理のコンセプトは「富山を知り尽くした地元の料理人と県外から招かれた料理人が、同じ旬の食材をテーマにそれぞれ新たなメニューを考案することで、1つのコースを完成させる」です。富山市内のレストラン「レヴォ」のオーナーシェフ・谷口英司氏(写真下・左)と、東京・渋谷区のワインバー「アヒルストア」の店主・齊藤輝彦氏(写真下・右)が、富山湾の「白えび」を食材とした料理を交互に3品ずつと、締めのデザートを1品ずつ提供しました。なお、料理に合わせてサービスされたワインは、富山のワインバー「alpes」店主の池崎茂樹氏が用意しました。

■地元の食材を用いながら「白えび」の新たな可能性を追求
「海の近くに標高の高い山があり、ミネラルを多く含んだ綺麗な水が水深の深い海へと一気に流れ込む富山は食材の宝庫」と声を揃える両シェフ。どのメニューにも富山独特の自然環境が育む豊かな食材がふんだんに使用され、それぞれのシェフの斬新な発想と高い技術、細やかな心遣いが生かされていました。テーマの白えびについて、「正直を言えば、料理人泣かせの食材。あれこれ手を加えずそのまま食べてもすごく美味しいものですから」と苦笑しながら語っていた谷口シェフ。だからこそ本番へ向けて、今回の参加者にさらに美味しく食べてもらうための工夫にこだわり、両シェフとも力が入りました。

■両シェフの想いと技術が結集した計8皿のコース料理に舌鼓
コースは、げんげ、ハチメの稚魚などの魚とロメインレタスと白えび、飯蒸しで、海・山・畑のバリエーションを表現した谷口シェフによる前菜でスタート。2品目は、齊藤シェフが、旬の山菜とアボカドに、香ばしい白えびスモークのパウダーとダイシモチ麦を絡めたサラダで、流れを作りました。あの手この手で居並ぶ来賓を驚嘆させつつ舌鼓を打たせるそのシェフの技、そして音楽とヴィジュアルによる演出のマジックが、3時間に及ぶコースの長さを感じさせません。メイン料理の後には谷口シェフが登場し、苺バナナのデザートを液体窒素で急速冷凍するパフォーマンスも披露。ノスタルジックな学び舎に最新の食の技術が持ち込まれるその様子を、参加者が興味深く観察するその姿は、食を通じて新たな「学び」を得るイベントの趣旨を象徴しているようでした。

■オール北陸チームが創り上げた独創的なダイニング空間と著名アーティストによるコラボレーション
会場の内装は地元の設計デザインチームが手掛けました。富山県内や金沢の家具店、気鋭の花人らとともに、ヴィンテージ家具や間接照明、植物を効果的に配して独創的なダイニング空間に。また、卓球台をテーブルとして使用するなど、“学校らしさ”も演出したほか、正面のスクリーンでは、音楽家の阿部海太郎氏が提供料理から着想を受けて制作したオリジナル楽曲に合わせ、画家のnakaban氏が文字やイラストレーションによってそれぞれの料理を表現するライブパフォーマンスを披露しました。

■前衛的なレストランイベントの成功に刺激を受ける両シェフ
終盤、谷口シェフは「今回のイベントを機に魚津の博物館や水族館などを回り、魚津が好きになり、富山がより一層魅力的な場所に感じた」と総括し、齊藤シェフが「前衛的な今回の試みに参加させてもらえて幸せだ」と語ると、会場から大きな拍手が湧き起こりました。お腹と心を満たして帰路に着く来客の姿を見ながら、「一番学ばせてもらったのは自分かもしれない」と齊藤シェフ。前衛的ともいえる試みのレストランイベントは、和やかでありながら心地良い刺激をもたらしつつ、幕を閉じました。

<第1回レスコラ参加シェフプロフィール>

<第1回レスコラを取材した特番が放送されます>
番組名:ReSCHOLA 富山を旅する一夜限りの廃校レストラン
放送局:BSフジ
放送日:2019年9月28日(土) 25:00~25:55

■プロジェクトは今後季節ごとにイベントを実施。次回は11月の開催が決定!
「レスコラ」は今後、「とやま学びレストラン」と銘打って、富山県内の休・廃校を巡りゆく移動型レストランとして季節ごとのイベント開催を予定。第2回目のイベントは11月9日(土)に富山と岐阜の県境に位置する南砺市利賀村の旧・坂上小学校(スターフォレスト利賀)で開催されます。

<第2回レスコラ開催概要>

日 時:2019年11月9日(土)17時~
会 場:富山県南砺市利賀村 旧・坂上小学校(スターフォレスト利賀)
料理人:谷口英司/富山県富山市「L’évo (レヴォ)」
東森俊二/東京都目黒区「Cignale ENOTECA(チニャーレ・エノテカ)」
テーマ食材:ジビエ(予定)

*募集要項詳細は下記URLをご覧ください
https://reschola.jp/