西武とソフトバンク、差はどこに? 得点力に圧倒的な違い、終盤は投手力も…

西武・辻監督(左)とソフトバンク・工藤監督【写真:荒川祐史】

断トツ755得点の西武に対し、ソフトバンクはリーグ4位の578得点

■西武 12-4 ロッテ(24日・ZOZOマリン)

 西武が24日、2年連続23度目のリーグ優勝を決めた。優勝マジックを「2」として迎えた24日のロッテ戦(ZOZOマリン)に12-4で勝利。2位ソフトバンクが楽天に敗れていたため、西武の21年ぶりの連覇が決定した。辻発彦監督は選手たちの手で10回、千葉の夜空に舞った。

 一方で、一時は首位を独走したソフトバンクは最大8.5ゲームあった差をひっくり返されて、2年連続のV逸が決まった。最後は敵地・楽天生命パークで楽天に敗れ、その後に西武の勝利が決まって、141試合目で力尽きることになった。

 西武とソフトバンクを分けた差はどこにあったのか。

 決定的だったのは、得点力の差だ。強力打線を誇る西武は今季も12球団で唯一の700得点を超え、755得点をマーク。チーム打率.266も12球団トップだが、作ったチャンスを着実に得点にする打線の繋がりが最大の持ち味だった。

 123打点の中村を筆頭に、120打点の山川、105打点の森、そして90打点の外崎と、パ・リーグの打点5傑のうち4人が西武勢。取れる時に、点を取るところが西武打線の強さだった。

 一方のソフトバンクは578得点と、西武と比べると、177得点少ない。これはロッテの642得点、楽天の607得点よりも少なくリーグ4位だった。182本のチーム本塁打は西武を上回りリーグトップだが、一発が大量点に繋がっていない現状が浮き彫りになった。

8月以降で言えば、実はチーム防御率も西武が上回っている

 デスパイネの36本塁打88打点がいずれもチームトップ。松田宣は30本塁打を放っているが、76打点。一時キューバ代表活動などで離脱期間のあったグラシアルも28本塁打で68打点。中軸として期待された内川は打率.257、41打点に終わった。チャンスでなかなか1本が出ない、シーズンを通じての課題は明確だった。

 西武は日没コールド勝ちした8月27日の日本ハム戦以降の25試合を19勝6敗で乗り切ったが、ソフトバンクは同時期に12勝10敗と失速した。夏場まで投手力を武器に白星を積み重ねてきたソフトバンクだったが、その投手力も終盤には陰りが見えた。8月のチーム防御率はともに4.35。実は9月に限れば、ソフトバンクのチーム防御率3.50に対し、西武は3.10と西武の方が上回っている。

 西武は平井が81試合と驚異的な登板数を投げているが、50試合以上を投げている投手を見ると、平井に加えて増田、小川の3人。これに対し、ソフトバンクは65試合の甲斐野に加え、モイネロ、森、嘉弥真、松田遼と5人。44試合の高橋純も、その43試合は5月24日に2度目の昇格を果たした以降に投げており、登板ペースは50試合を超える。甲斐野はルーキー、高橋純も実質1軍は1年目。未知の疲労は間違いなく溜まっていただろう。

 ソフトバンクはシーズン序盤から怪我人続出にも苦しめられた。野手では柳田、中村晃、今宮らが、投手でも岩嵜や石川、バンデンハークらを長期間欠いた。一方の西武は投手では多和田や榎田を欠いたが、チームの根幹を成す打者に大きな怪我人がなかった。終盤、ソフトバンクも戦力が復帰したが、柳田や中村晃はやはり本調子とは言えず。最後まで怪我がチームに影響を及ぼしていたといえる。(Full-Count編集部)

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