パ2連覇・西武はチーム打率1位、防御率では最下位 強さのワケを読み解く

21年ぶりのパ連覇を決め胴上げされた西武・辻監督【写真:安藤かなみ】

23度目リーグVは打線が導いた、チーム打率&長打率はリーグトップ

 西武は24日、ZOZOマリンで行われたロッテ戦に12-4で勝利し、1ゲーム差の2位ソフトバンクが敗れたことで優勝が決定した。西武の優勝は1950年、セ・パ両リーグ分立時に西鉄クリッパーズとして創設されて以来、70シーズンで23度目。これはパ・リーグで最多だ。

 平成以降の31シーズンで見ても最多となっている。

1位:西武 12回
2位:ソフトバンク(ダイエー) 8回
3位:日本ハム 5回
4位タイ:オリックス 2回
4位タイ:近鉄 2回
6位タイ:ロッテ 1回
6位タイ:楽天 1回

 現在の辻発彦監督が2017年に就任してからは2位、1位、1位と3季連続でポストシーズンに進出している。しかし、今季の西武は極端な打高投低だった。(数字はすべて25日ゲーム前時点)

〇チーム打率
1位:西武 .266
2位:ソフトバンク .252
3位タイ:日本ハム .251
3位タイ:楽天 .251
5位:ロッテ .249
6位:オリックス .244

〇チーム長打率
1位:西武 .429
2位:ソフトバンク .412
3位:ロッテ .402
4位:楽天 .389
5位:日本ハム .366
6位:オリックス .356

〇チーム防御率
1位:ソフトバンク 3.63
2位:楽天 3.75
3位:日本ハム 3.79
4位:ロッテ 3.90
5位:オリックス 4.11
6位:西武 4.33

〇チームWHIP(1イニング当たりに許した四球、安打での走者数)
1位:日本ハム 1.23
2位:楽天 1.26
3位:ソフトバンク 1.31
4位:オリックス 1.348
5位:ロッテ 1.351
6位:西武 1.42

 西武投手陣の失点は多く、許した走者も多かったが、それを圧倒的な打撃力でカバーしたといえるだろう。

 また西武は、26日に残り1試合(楽天戦)を残してはいるが、今井達也投手の134.1回が最多投球回で、規定投球回数に達した投手はいない。1966年に規定投球回数が「試合数×1」に決められて以降、リーグ優勝チームに規定投球回数以上の投手が「0」となるのは史上初。残り1戦で今井が8.2回以上を投げれば規定投球回数に達するが、どうなるだろうか?

 先発投手が長いイニングを投げない分、救援投手の登板機会が増えている。セットアッパーの平井克典投手はリーグ記録となる、シーズン最多の81試合登板となっている。

打撃各部門では西武の選手が上位にひしめく

 その一方で、打撃各部門では西武の選手が上位にひしめいている。

〇打率
1位:森友哉(西).329
2位:吉田正尚(オ).325
3位:荻野貴司(ロ).315
4位:秋山翔吾(西).305
5位:銀次(楽).304

〇打点
1位:中村剛也(西)123
2位:山川穂高(西)120
3位:森友哉(西)105
4位:ブラッシュ(楽)95
5位タイ:外崎修汰(西)90
5位タイ:浅村栄斗(楽)90

〇安打数
1位:秋山翔吾(西)179
2位:吉田正尚(オ)164
3位:森友哉(西)162
4位タイ:荻野貴司(ロ)160
4位タイ:銀次(楽)160

〇本塁打
1位:山川穂高(西)43
2位:デスパイネ(ソ)36
3位:ブラッシュ(楽)33
4位タイ:浅村栄斗(楽)32
4位タイ:レアード(ロ)32
6位タイ:中村剛也(西)30
6位タイ:松田宣浩(ソ)30

〇盗塁
1位:金子侑司(西)41
2位タイ:源田壮亮(西)30
2位タイ:福田周平(オ)30
4位:荻野貴司(ロ)28
5位:周東佑京(ソ)25
6位:外崎修汰(西)22

 注目すべきは盗塁数だ。金子、源田、外崎らが塁を奪うことが中村、山川、森ら打点ランキングトップ3の打点数に繋がっている。

 このように極端な打高投低でシーズンを戦いぬいた西武。ただ、シーズン終盤は投手陣の頑張りが目立ち、逆転優勝の要因の1つにもなった。昨年はCSでソフトバンクに敗れ、日本シリーズ進出とならなかったが、今季は雪辱できるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2