障害者の賃金増やす 尾崎さん立ち上げ クッキー製造販売、農産物発送 五島の事業所「Goto Challenged 椿」

クッキーの計量や成形に取り組む尾崎さん(中央)ら=五島市浜町

 五島市内で暮らす障害者が働く場所を増やそうと、同市の尾崎昌子さん(41)らが事業所「Goto Challenged 椿(つばき)」を立ち上げた。地元産のつばき油などを練り込んだクッキーの製造や販売、農水産物詰め合わせの全国発送などを手掛ける。働く障害者の生活が少しでも安定するよう、最低賃金を上回る給与を支払う予定で、来年度からの雇用を目指す。
 尾崎さんの次男(19)は知的障害があり、特別支援学校を卒業後は市内の就労継続支援B型事業所に通う。ただ、一般就労が難しい人が働くB型で支払われる工賃は一般的に少なく、その収入だけでは経済的な自立が難しい。10年ほど前、障害児の親の会代表として、県立鶴南特別支援学校小中学部の五島分教室設置に向けて活動した尾崎さんは、学校卒業後の進路についても「障害特性に応じて働き方を柔軟に選べ、少しでも高い賃金を出せる職場をつくりたい」との構想を温めてきた。
 事業は、本年度の国境離島新法の雇用拡充事業に採択され、今年4月に同市浜町の空き家を改修した工場を開設。特別支援教育の経験がある元教諭など3人のスタッフと共に、6月から営業をスタートした。
 事業所名にある「Challenged(チャレンジド)」は障害のある人を表す米国発祥の言葉で、「挑戦するチャンスを与えられた人」の意味。福祉サービスとしてではなく「一般就労に近い形」で来年度から毎年一人ずつ雇用し、売り上げから賃金を支払う。主な事業内容は五島産のつばき油や米粉、茶葉などを生地に練り込み、粉砂糖をまぶしたクッキー「椿玉」の製造。市内の土産店などで販売している。市内で水揚げされた鮮魚や地元野菜、加工食品などを詰め合わせたセット「五島よかとこ便」の全国発送もしている。
 尾崎さんは「障害のある子の親としては、自分たちがいなくなった後の子の生活が心配。まずはできる作業に取り組んでもらい、給料をもらって自分で生活できる力を付けられる事業所にしたい」と話している。 問い合わせは「Goto Challenged 椿」(電0959.73.5088)。

五島産のつばき油や米粉を使って開発したクッキー。五島市内の土産店などで販売中

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