もはや狂気的なカメラ性能に…ファーウェイ「Mate 30 Pro」まとめ

ファーウェイは、最新のハイエンドスマートフォン「Huawei Mate 30 Pro」と、より手頃に入手できる「Mate 30」を発表しました。

発表には“ほろ苦さ”もあります。ハードウェアスペックは非常に驚くべきものですが、グーグルのアプリとサービスがプリインストールされておらず、最終的にどのような結果になるかは知る由もありませんが、決して良い状態とは言えません。詳しくは後述します。

Mate 30 Proのハードウェアとスペックについて

Mate 30 Proは、即座にファーウェイのスマートフォンであると認識できる特徴的なデザインになっています。中央には、カメラパーツが集積されており、おそらくアップルのiPhone 11よりもエレガントかつパワフルな見た目をしています。

ショーの目玉であるリアカメラは驚異的なスペックになっています。

・18mm 超広角カメラ 4000万画素 f/1.8
・27mm メインカメラ 4000万画素 f/1.6(手ブレ補正付き、ISO409600まで対応)
・80mm 望遠カメラ 800万画素 f/2.4(手ブレ補正付き)
・深度センサー

ファーウェイでは、大きく変更した点として2つあります。1つ目は、ウルトラワイドカメラのCMOSセンサーと光学系を刷新したことです。われわれのUber-Gカメラベンチマークでは、前モデルのMate 20およびP30 Proの超広角カメラは、Galaxy S10やNote 10のカメラに負けていました。

Mate 30 Proでは、ウルトラワイドカメラが刷新されました。スペックシートを読む限り、大型化されたセンサーに明るいF値により、ウルトラワイドカメラとしては最も可能性を秘めたものでしょう。想定ですが、この新型光学系はパフォーマンスを引き上げ、最近のウルトラワイドカメラでトップになれるでしょう。

新しいデザインに収納されているのは、130mmのペリスコープズームレンズではなく、伝統的な80mmの望遠カメラモジュールです。ズーム域だけみれば、後退しているようにみえますが、最新モデルですら52mmズームレンズを採用するサムスンとアップルに比べたら、先頭を維持しています。

また、ファーウェイは、スローモーション性能がよくわかるハチドリの羽ばたく動画を披露し、狂気的な7680fps(720p撮影時)でのハイスピード撮影も披露。また、ほかの解像度でもスローモーションのオプションを用意します(1080pは1920fps、4Kは480fps?)。

その他のスペックは以下のとおりです。

・6.53インチのカーブエッジディスプレイ
・4500mAhのバッテリー、有線で40W、ワイヤレスで27W給電対応
・Kirin 990プロセッサー、8GBメモリ、256GBストレージ
・4Gモデルは1099ユーロ、5Gモデルは1199ユーロ
・ポルシェエディション(メモリ12GB、ストレージ512GB)は2095ユーロ

また、ファーウェイはボリュームボタンを排除し、代わりに静電容量センサーをサイドに配置しています。電源ボタンは、美しいレッドカラーがアクセントになっています。このセンサーがどのように機能するか注視したいのですが、物理ボタンを連打するよりもスライドアップ/ダウンするだけで良くなる可能性はあります。

3D顔認証は、LGが「LG G8」で導入したKinectのようなモーションセンサーとしても使用されているもので、ある程度の成功を収めています。ファーウェイと噂のPixel4がこのアイディアをさらに改良するかどうか注目です。

手頃なのに「Mate 30 Pro」と同スペックの「Mate 30」

例年通り、ファーウェイは799ユーロからとより手頃なMate 30も選択できるようにしています。違いは結構あるのですが、まずはリアカメラから見てみましょう。

・17mm 超広角カメラ 1600万画素 F2.2(マクロモード)
・27mm メインカメラ 4000万画素 F1.8(ISO204800)
・80mm 望遠カメラ 800万画素 F2.4(手ブレ補正付き)
・レーザーアシストオートフォーカス

Honor 20 Proのカメラ(IQスコア=175)と形状はとても似ていますが、全く同じではありません。超広角とズームカメラのモジュールスペックは同一のスペックですが、メインカメラについてはP30(IQスコア=174)に似ています。

実際のところ、カメラの画質などはMate30がリリースされてから正確にわかるでしょうが、ファーウェイが超広角レンズやホワイトバランスなど、予想外の分野で成果を上げているかどうか気になるところです。

その他のスペックについては、ほとんど差がありません。スペック表を見てみましょう。

・6.62インチディスプレイ
・4200mAhバッテリー、40W充電(有線) or 27Wの無線充電に対応
・Kirin 990プロセッサー,8GBメモリ、ストレージ128GB
・799ユーロ

良い知らせとしては、去年と比較してMate 30とMate 30 Proとの違いは狭まっています。コスト的に799ドルよりは出せなくても、Mate 30は同じパフォーマンスを実現します。ほとんどのカメラ性能を引き継ぎ、価格以上の豪華なデザインとストレージオプションが利用できるからです。

ソフトウェア:Googleアプリなし

2019年5月より、米国政府の措置によって、グーグルを含めた米国企業はファーウェイとの取引が制限されるようになりました。取引が短期間延期されたおかげか、ファーウェイのスマートフォンは、Android 10がベースの独自UI「EMUI 10」を搭載して出荷されます。これは、ファーウェイの独自OSがまだスマートフォンに適していないためです。

しかし、両モデルともGoogleのアプリとPlayストアはインストールされていません。代わりにファーウェイは、何万ものアプリを扱う独自アプリストアを用意しますが、Googleの公式サポートと比べたら天と地の差があります。

ファーウェイは、アプリストアの強化を急いでいますが、短期的に見ればユーザー体験に影響が出るのは仕方ないでしょう。Googleのサービスが提供されていない中国では問題にならないでしょうが、ヨーロッパや日本などほかのマーケットではそうはいきません。これがどのように影響するか、まだわかりません。

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