殉教キリシタンしのぶ 平戸・根獅子「おろくにん様」 命日に住民ら参拝

ウシワキの森にあるほこらに参拝する根獅子地区の住民ら=平戸市大石脇町

 長崎県平戸市中部の根獅子地区で殉教した「おろくにん様」と呼ばれるかくれキリシタンの一家6人を慰霊しようと、命日に当たる24日夜、地元のかくれキリシタンの子孫らでつくる町おこし団体「ネシコつんのでさるこう会」の会員らが埋葬地とされるウシワキの森(大石脇町)を参拝した。
 仏教や神道など他の信仰も受け入れる形態を守る根獅子では、今も住民が初詣の帰りなどに森へ立ち寄り手を合わせる。後継者不在で1992年に地区のかくれキリシタン組織が解散した後は、同会が命日に参拝を続けた。今回、地域の悲しい歴史を後世へ伝えようと参拝を公開した。
 関係者によると「おろくにん様」は禁教時代、3人の娘がいる夫婦が長女の婿にした男に心を許し宗教を明かした。男は密偵で、家族は同じ信仰を持つ住民をかばい続け旧暦の8月26日、根獅子の浜で処刑された。悲しんだ住民は男との間の子どもを含む6人の遺体を「おろくにん様」として葬ったとされる。
 会員らは24日午後7時すぎに森の近くに集まり、持ち寄ったおにぎりや煮しめなどを、ほこらに供え手を合わせた。瀧山直視会長(69)は「多くの人に知ってもらうため、来年も公開を検討したい」と話した。

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