クロスカブ110で「もう一度バイク」に挑戦、注目度上昇の原付2種

猛暑もようやく終わり、爽やかな季節になりました。春先も同じなのですが、気持ちのいい時期になると頭をもたげるのが「バイクに乗ったら気持ちいいだろうなぁ」という思いです。とくに若い頃にライセンスを取り、それなりのバイクを乗り回していた人たちにとって“バイクに乗りたい病”を発症することが多いと聞きます。

確かにバイクツーリングの人たちを見ると本当に気持ちよさそうですが、かといって100万円を超えるほどのビッグバイクというのは荷が重い。もっと軽い気持ちで、お手軽に楽しめるバイクはないかと探してみたら、今回のテーマ、ホンダ「クロスカブ110」が見つかりました。いったいどんなバイクでしょうか?


普段着で乗りこなせるファッションバイク

リターンライダーという人たちがいます。まさに昔取った杵柄とでも言うのでしょうか、若い頃にライセンスを取って2輪ライフを送っていた人たちが、一端バイクから離れ、子育てが一段落、趣味にたっぷりと時間が使えるようになったとき“もう一度バイクに乗ろう”と決断した人たちのことです。そんな人たちがまず考えるバイクは排気量1,000ccオーバー、価格も100万円を軽く越えるようなビッグバイクでしょう。

確かにそれも魅力的ですが、低下してしまったスキル、予算など諸々考えると少しばかり気が重い。かといって制限速度30km/hの50cc原付ではじれったいし、行動範囲も広がらない。そこで最近、注目を浴びているバイクと言えば、一般道での最高速度60km/h、イザとなれば二人乗りも可能と言う「原付2種」というカテゴリーで「ピンクナンバー」に属するバイクです。実際に注目度が上がってきていることから、このセグメントにはメーカー各社から色々な選択肢が登場していますが、そんな中でお薦めなのがホンダ「クロスカブ110」というアイテムです。同じホンダの「スーパーカブ125」と同様にピンクナンバーの牽引役とも言える存在です。

実際に「クロスカブ110」のアウトドアっぽいデザインは“お遊び感覚が満載”でファッション性の高さでは、他のバイクとは少しばかり印象が違います。実際、このバイクのコンセプトは“街にも自然にもフィットする、軽快でアクティブなスタイル”ですから、特別なライダーズファッションアドはかえって似合いません。普段着というか少々お洒落して、街で乗り回しても似合いますからパーソナル感満載です。もちろん、ちょっとした郊外でのツーリングに乗り出せばアウトドア感がありますから、こちらでも物足りないと感じることはないと思います。

さらに「クロスカブ」の独特の佇まいと雰囲気を作り上げているフロント部分やリアに装備されているキャリア類ですが、飾りではありません。ここにバックやボックスなどをくくりつけて積めば、積載量も大幅に増え、実に便利で実用性はけっこう高いのです。

スーパーカブの面影を残しながらアウトドアっぽいテイストで仕上げたクロスカブ110

往復200km程度のツーリングも快適にお安く軽々こなす

早速、走り出してみます。基本操作はスーパーカブと同じで、クラッチ操作は不要で走り出しもスムーズ。ギア・チェンジは必要になるのですが、それでもクラッチ操作が要りませんからライディングは楽々です。ベースとなったスーパーカブよりも少しだけ大柄なボディで安定しています。ギア・チェンジ以外は特別に高度なライディング技術も必要ではなく、スイスイと混み合った市街地を駆けぬけ、そのまま爽やかな風を感じることができる郊外に向かいます。

テスト日は夏の名残りはあるものの、のどかな郊外のカントリーロードに入ると風には秋の気配が……。何とも気持ちよく、ゆったりとした気持ちになり、これがバイクツーリングの醍醐味という感じですね。都内のスタートから60kmあまり走ると、この時点ではまだ疲労感も少なく、何より普通の交通の流れに乗って走ることが出来るので精神的に楽でした。残念ながら高速道路や一部自動車専用などは走行できませんから、一般道をトコトコと走るだけですが、その速度感がクロスカブ110の楽しさとも言えます。

ゆったりとしたプチツーリング感覚は、自分だけの時間を楽しみたいと考える人にはチョットお薦めです。私の知人にはこのクロスカブ110で東京から京都まで走っても苦にもならない、と言う知人もいます。さすがにそれは相当な覚悟がないとできませんから、一般の人にはお薦めできません。

ただ今回のツーリングで分かったのですが都内から片道100~150㎞ぐらいなら、何の問題もなくツーリング対応できます。途中、秩父周辺の山岳路も経験しましたが、エンジンは109ccで、最高出力8PS/7,500rpm、最大トルク:0.87kgf-m/5,500rpmというスペックで、パワー不足によるストレスなどを感じるというシーンはありませんでした。

途中の道の駅で休んだり、峠の茶屋で炭酸飲料を飲んだり、無人販売所で野菜を買ったり、なんとも楽しくツーリングを続けました。途中に気持ちの良さそうな小さな河原を見つけ、そこに降りていってヘルメットを取ると、鳥のさえずりが聞こえてきました。手頃なサイズのバイクならではの気楽さを実感した瞬間です。そして心地いい疲労感を残して駆けぬけた総走行距離220km少々のツーリングは無事に終えました。消費燃料は3.4リットルほどでしたから、燃費は65km/L弱ということになります。カタログ値燃費が66.7km/L(WMTCモード)ですから、ほぼカタログ値を達成したことになります。そしてなにより、これだけ走ってワンコイン(500円)でおつりが来ましたから、経済性も相当に高いことになります。

軽乗用車に積み込みも可能

そしてこの「クロスカブ110」ですが、以前、ホンダの商用軽自動車「N-VAN」のシートを折りたたんで、搭載したことがあります。実は嬉しいことに小さな軽自動車にクロスカブ110がピタリと積み込めるのです。市街地と高速はN-VANで走り、訪れた目的地で車からクロスカブを引っ張り出す。ゆとりがあるなら、こうした6輪ライフという手も可能になるんです。実際にこれも本当に楽しい。

軽自動車のN-VANとの6輪ライフも手軽に可能

クロスカブ110は334,800円(税込)にN-VANの「+STYLE FUN・ターボHonda SENSING」のFFモデルが1,668,600円(税込)、合計2,003,400円です。まぁ、これに積み込み用のラダーや固定用のタイダウンベルトなどが必要になりますが、たいした増額にはならないと思います。それよりも、こんな楽しいクロスカブ110、そしてN-VANの2台がいつも傍らにあるなら楽しいだろうなぁ、と思うと、誘惑に負けそうになっている自分を発見しました。

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