【気象コラム】紅葉狩り、その時々の表情を楽しもう 色づきを表す言葉

 10月に入ると、昼間は汗ばむくらいの陽気になる日があっても、朝晩はヒンヤリして、日ごとに秋の深まりを感じますね。北海道では山間部など木々の葉が赤や黄色に色づいている所もありますが、これから11月にかけて各地で紅葉を楽しむことができます。

 紅葉がきれいに色づくにはいくつか条件がありますが、主なものは次の3つです。

・朝晩と昼間の気温差が大きいこと

・葉が十分に日光に当たること

・適度な湿度があること

 これからの日照時間や夜間の冷え込みが、色づき具合を決めるのに重要になってくるというわけです。

 さて、紅葉狩りに行っても、まだ緑の葉が多くて色づきが進んでいなかったという経験がありませんか? ただ、うっすらと色づいている時だからこそ、赤や黄色、緑のグラデーションを楽しむことができると考えれば、その景色が特別なものになるかもしれません。

 紅葉の色づきの程度を表す言葉がいくつかありますので、それぞれの言葉についてご紹介したいと思います。

 まず、木々の緑が少し色づいた状態を「薄紅葉(うすもみじ)」といいます。お化粧でいえば薄化粧といったところでしょうか。徐々に色づきが進み、薄い色や濃い色が混ざり合ってくると「斑紅葉(むらもみじ)」といいます。さまざまな色合いを楽しむことができる時期です。

斑紅葉を楽しむ(筆者撮影)

 次第に見頃を迎えて、秋晴れの下で美しく輝く様子を「照紅葉(てりもみじ)」といいます。真っ赤に染まった葉や黄金色の葉が青空に映えて、きれいですね。その後、木々の葉が散り始め、散り落ちた葉が地面や水面に敷き詰められた状態を「散紅葉(ちりもみじ)」といいます。いわゆる紅葉のじゅうたんですね。

 最後に、枯れ木が目立つようになってきた時、ふと見上げると、木の枝に数枚残っている赤や黄色の葉に気が付くことがあります。このように枝に散り残っている様子を「冬紅葉(ふゆもみじ)」といいます。こうしてみると、色づき始めから散り終わりまで、いつ訪れても、その時々の景色を楽しむことができますね。

 ・薄紅葉:うっすら色づく様子

 ・斑紅葉:薄い色や濃い色が混ざり合う様子

 ・照紅葉:照り輝く様子

 ・散紅葉:散った葉が地面などに敷き詰められた様子

 ・冬紅葉:枝に散り残っている様子

 自然のもたらす美しさが、人々の目を楽しませてくれる紅葉。色づき具合を表すいろいろな言葉を知ることで、その時にしか見られない紅葉の美しさを感じられるかもしれません。さまざまな表情を楽しむために、いつもと違った時期に紅葉狩りへ出かけてみてはいかがですか?

 (気象予報士・久保智子)

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