金ピカ「ウサギ彫刻」が100億円!?投機に沸く現代アート・・・あのZOZO前澤氏も油絵に123億円

©株式会社ジェイ・キャスト

この5月(2019年)、ニューヨークのオークションで、現代アートの作品に8000万ドル(約100億円)の値がついた。ジェフ・クーンズのステンレスの彫刻「風船ウサギ」だ。現代アートの作品が高騰している。村上隆16億円、アンディ・ウォホル36億円、ZOZO前社長・前澤友作氏が買ったジャンミッシェル・バスキアの油絵は123億円だった。

これには仕掛けがあった。クーンズの「風船ウサギ」も最初は400万円だった。大手ギャラリーが1986年に彼を見出した後、批評家、コレクター、美術界が一丸となって育て上げた。そうしたシステムがあるのだという。この時、批評家はクーンズを「俗っぽい王子様」と名付けてこう書いた。「階級、人種、マネー、セックス、淫ら、美しさ、パワー、欲望を提示する謎めいた泉である」

これを受けてコレクターが動くと、作家の価値を決定づける。不動産王でコレクターのエドワード・ミンスコフ氏は、「これが奈良美智、村上隆、クーンズ・・・」と作品を示しながらいう。「才能を見出し、コレクターが世に知らしめることで、買いたいと思う人を増やしていくんだ」

その結果、オークションでは、バブルさながらに、世界中から金が集まる。今回のオークションには、34の国から応札があった。関係者は「この20年で、アート市場の国際化は進んだ」という。

中国は国を挙げて参入!購入に補助金や優遇税制

ここでも注目されているのが中国だ。習近平国家主席は3年前、「国を挙げて芸術を後押しする」と宣言した。「最高の芸術を生み出す努力を」と呼びかけて、アート市場を活性化しようとしている。具体的には、美術館建設の支援だ。補助金や優遇税制を使って、民間の力を動かそうというものだ。

ひとつには、かつての内戦や文化大革命で、多くの美術品を失った歴史がある。北京の故宮にあった文物の大半は、いまは台湾の故宮博物館にある。そして現在、オークションサイトで、中国はクリスティーズ、サザビーズに次ぐ3位。そして、中国の現代作品を海外へ売り込む後押しも、美術館がやっている。

批評家、コレクター、美術界が組んで価格つり上げ

武田真一キャスターは「わからない。あのウサギがなぜ100億円なんでしょうか」と首をかしげる。取材をした宮本崇司ディレクターは「わからないところが面白い」と、「風船ウサギ」に付けられた批評を並べてみせた。

「1980年代の『爛熟したアメリカ文化』の象徴であるプレイボーイを表現した」。あの雑誌のプレイボ-イのことだ。さらに、ピカピカのステンレスを「見る人の心を映す鏡」。ウサギが持っているニンジンを「男根崇拝を表す」とは、こじつけにしか聞こえない。

それでも、コレクターでもある横浜美術大学の宮津大輔教授は「難しく考えないで、自分の見方で。美術品は宝物でもあり、金融商品でもあるのです」と話す。

慶應大の宮田裕章教授「お金が回って初めてアートできる。アーティストの生計が立たないと・・・」

市場規模では、アメリカが44%、イギリスが21%、中国が19%だ。日本は1%に満たないという。現代アートはなぜアメリカで人気なのか。宮本ディレクターは「(国の)歴史が浅いから、自分たちの歴史を作りたいのではないか」と解説した。アメリカ人にしかわからない感覚なのかもしれない。

NHKクローズアップ現代+(2019年9月25日放送「『ウサギの彫刻』に100億円!? 現代アート高騰の舞台裏」)