月末はいつも四苦八苦…派手な生活はしていないのに貯められない

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、収入はそれなりにあるのに貯まらないという40代のパート主婦。派手な生活はしていないのに、月末になるといつもやりくりに四苦八苦するといいます。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

主人の収入は手取りで年間800万円ほど。妻の私も今年6月から正社員になり、ボーナスを見込むと手取り200万円くらいあるのに、月末は資金繰りに四苦八苦しています。外食は、週末に3000円~5000円くらいを1回。平日は外食をしていません。レジャー費も月2~4万円程度。銀行貯金は金利が低いので、保険で将来の貯蓄をしているため保険料は結構多いと思います。派手な生活はしていないのですが、支出を見直すと10万円ほどが使途不明になっています。どうすれば 月末に四苦八苦しなくてすむのか、改善策を教えていただきたいです。

<相談者プロフィール>

・女性、41歳、既婚(夫:44歳、会社員)

・子ども3人:12歳、8歳、4歳

・職業:会社員

・居住形態:持ち家(戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:45万円

(夫:30万円、妻:15万円)

・年間の手取りボーナス額:450万円

・毎月の世帯の支出目安:43万円

【支出の内訳】

・住居費:9.8万円

・食費:6万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:3.2万円

・通信費:1.3万円

・車両費:3.3万円

・お小遣い:夫3万円

・その他:3~5万円

・不明:10万円ほど

・保険料:年間82万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:2万円

・現在の貯蓄総額:50万円

・現在の投資総額:100万円

・現在の負債総額:1900万円(住宅ローン)


渡邊:こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。今回は、家計整理のご相談ですね。

派手な生活をしているつもりがないのに、月末になると資金繰りに四苦八苦とのことです。こういったご相談は結構多いです。割と抑えて生活しているつもりなのに、支出が減らず、使途不明金がなくならないという方もいらっしゃると思います。効果的な家計見直しの手順についてみていきましょう。

ステップ1:何のために貯めるのか、優先順位をつける

まずは、なぜ家計の見直しが必要なのか、何のために貯蓄をしていきたいのか、からスタートです。お金が貯まらない、貯めたいという方に、「何のために貯めたいのですか?」という質問をすると、「なんとなく」とか「将来の何かあった時のために」と漠然とした答えが返ってくることがあります。

経済的な目標を箇条書きで良いので書き出してみましょう。そして、優先順位をつけていってください。理想はすべてを実現することですが、物理的に無理なケースもあります。必ず優先順位をつけていきましょう。

(優先順位の例)
1.子どもの教育費準備
2.マイホーム購入
3.海外旅行
4.車の購入
5.豊かな老後の生活

ステップ2:必要な貯蓄額を試算する

次に、月々あるいは毎年いくら貯める必要があるのかを試算しましょう。

これは上記の目標達成のために、「いつまでに」「いくら」必要なのかを計算すれば出てきます。子どもの教育費であれば、大学まで行かせてあげたいとか、公立なのか私立なのかによっても準備するべき金額は変わってきます。

ステップ3:現状把握に3ヵ月以上費やして、必要なものをはっきりさせる

「何のために」「いつまでに」「いくら」がはっきりしたら、次は現状把握です。

よく、なかなかお金が貯まらないので、「どんな貯蓄商品が良いですか? 効果的な運用商品教えてください」など、手段から入る方がいますが、現状把握せずに計画立てようとしても、なかなか方向性が定まりません。また、仮に理想だけで計画を立てたとしても長続きしません。

例えば、ダイエットでも「よし!痩せよう!」と思って、食べる量を減らしたり、運動を始めたりしますが、気持ちが盛り上がっている時は良いですが、その気持ちは一時的で、なかなか長続きしませんよね。長続きできない人は、現状把握や自己分析ができていないので、自分がどんな生活がしたいのかわからず、生活の中で削れない重要なものと、削れるものの区別がつけられていません。

食べるのが好きでそれがないとストレスを抱えてしまうのに、食事を抜いたりしてしまうので、なかなか長続きしないのです。貯蓄も一緒です。例えば外食を減らすとか、外でカフェに行かないようにするとか、もちろんそれができれば、お金を使う場面は減りますが、それをすることで極端にストレスを抱えてしまったり、あるいは欲望に負けてしまい、結局は使ってしまうということになります。

すなわち、自分自身が生活の中で大切だと思うもの、必要だと思うものをはっきりとさせ、それを削るような貯蓄はしてはいけません。

この現状把握に、最低でも3ヵ月は費やしましょう。1ヵ月では、なかなか支出の細かい部分までは見えてきません。たまたま今月は使う予定がなかったということもあります。また、冠婚葬祭など、たまたま一時的に必要だったということもあります。3ヵ月から6ヵ月の生活の記録を取り、自分自身がどんなお金の使い方をしているのかをまず把握する必要があります。

そして、その中から削れるものと削れないものを区別していきましょう。判断の基準は“ストレス”です。「1.なくてはならない」「2.なくても大丈夫だが、できれば欲しい」「3.特になくても問題ない」に分類したら、2と3に当てはまるものが削除候補です。

ステップ4:先取りで強制貯蓄の仕組みを作る

最後に貯蓄するための手法と手段です。貯蓄計画は、月々できる貯蓄と、ボーナス時にできる貯蓄と二種類あります。ボーナスについては、業績や会社都合などで変動する可能性もあるので、あまり頼りすぎるのも危険ですが、ご相談者のようなケースだとボーナス比率が高めですので、頼らずにはいられないと思います。

月々にしても、ボーナスにしても貯蓄する秘訣としては、必要な貯蓄額をあらかじめ抜いて、それ以外で生活するということです。

収入―生活費=貯 蓄 ×
収入―貯 蓄=生活費 〇

特にボーナスは大きい金額が入るので、お洋服や、旅行など楽しみに費やすケースも多いかと思います。これらもあらかじめ貯蓄額を設定して使えないような状況にしなければ、なかなか貯まりません。

手段としては、銀行の積立定期や、ご相談者のように保険を活用して保険料として強制的に引き去りする方法も効果的です。長期的な目標のためだと、つみたてNISAやiDeCoなどをうまく活用するのも良いでしょう。

このようにたくさんある手段の中から自分自身にとって一番マッチしたもの選ぶためにも、最初に設定した経済的な目標の期限や金額に合わせる必要があります。

ご相談者は、6月から職場で正社員となり、まだそこまで時間が経っていません。月々の使途不明金が10万円というのは額が大き過ぎですが、仕事をし始める時期は、なにかと支出がかさむ時期でもあるので、もう少し様子を見ても良いかもしれません。年間貯蓄の目標を立てたうえで、ボーナスも含め必要な支出とそうでないものとを切り分けて、強制貯蓄ができる体制を作って欲しいと思います。

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