これを読めばもっと楽しめる京都・伏見稲荷大社の見どころをご紹介

トリップアドバイザーで6年連続1位に輝く絶大な人気を誇る「伏見稲荷大社」。24時間いつでも参拝できるので、早朝・日中・夜でそれぞれの景色や雰囲気を楽しめ何度も足を運びたくなるスポットです。今回はそんな「伏見稲荷大社」の見所をたっぷりご紹介します!

伏見稲荷大社とは

日本人にとって神社の中でも比較的身近な存在である「稲荷神社」。その数はなんと全国約3万社と言われており、「伏見稲荷大社」は「稲荷大神様」をまつった神社の総本宮。古くは朝廷により雨乞いや農作物の豊作、国の安泰などが祈願されていたようで、当時の記録が多数残っています。その後、中世になると良縁や病回復が願われるようになり、現在では商売繁盛や交通安全、家内安全などにご利益があると言われています。「伏見稲荷大社」と言えば「千本鳥居」など有名なスポットがたくさんあり、国内外を問わず観光客にとても人気のある場所です。

基本情報

伏見稲荷大社は24時間365日いつでも参拝ができ、参拝料もかかりません。御朱印やお守りをご希望の方は、社務所の営業時間が7:00 am ~ 6:00 pmなので要注意。

【交通アクセス】
JR奈良線 稲荷駅下車 徒歩すぐ
京阪電車 京阪本線 伏見稲荷駅下車 東へ徒歩5分
京都市バス南5系統 稲荷大社前下車 東へ徒歩7分

見どころ

伏見稲荷大社といえば、朱色の鳥居(※)が連なる「千本鳥居」を最初に思い浮かべる人が多いと思いますが、伏見稲荷大社の背後にある標高約233mの稲荷山全体に見所が点在しています。参拝道を一周すると全長約4km、時間にして約2時間ほどかかるので、ハイキングコースとしてもおすすめです!一周しない場合でも、坂道・山道があるので履き慣れた靴で参拝するのが良いです。

※神社の中と外を分ける境目に立てられる象徴的な建造物。鳥居をくぐる時に、神聖な場所へ入らせてもらう感謝を表すために一礼する風習がある

楼門

「楼門」は神社の入口にある二階建ての門で、一般的には神社の顔とされています。伏見稲荷大社の楼門は、豊臣秀吉(のちに天下統一する武将)が母の病回復を祈願したところ無事病が治ったため、そのお礼として1589年に建てられたと言われています。1973年の楼門解体工事の際には、当時に豊臣秀吉が書いた願文が発見されました。日本全国にある楼門の中で1番規模が大きく見応えがあり、国の重要文化財に指定されています。

本殿

伏見稲荷大社の本殿は、檜の樹皮を重ねた檜皮葺き(ひわだぶき)の屋根が本殿前の階段付近まで長く延びているのが特徴の、「流造」という神社では一般的な建築様式で造られています。部分的に仏教建築の要素が取り入れられていることもあり、伏見稲荷大社独自の様式として「稲荷造」とも呼ばれています。1468年に発生した内乱により全焼してしまい、全焼から1年も経たずに仮殿を建設しましたが、その後の国内の情勢が芳しくなく1499年に再建されたと言われています。現在は、国の重要文化財に指定されています。

千本鳥居

本殿の裏手にある「千本鳥居」は伏見稲荷大社の中でも人気が高く、鮮やかな朱色の鳥居が無数に連なる様子はまさに圧巻。フォトスポットとして観光客に大人気です。江戸時代(1603年〜1868年)に願い事が「通る」または「通った」ことに対する御礼として鳥居を奉納する文化が始まり、稲荷山の入口に設置されたと言われています。現在では参道全体で約1万基の鳥居が並んでおり、サイズによって値段は異なりますが約17万円〜約130万円で鳥居を奉納することができます。

白狐

伏見稲荷大社の境内には、いたるところに狐の像があります。この狐は伏見稲荷大社にまつられている「稲荷大神様」の使いとされており、神様同様に人間の目には見えないため、透明の狐=白狐と呼ばれています。境内には神様に由来する宝物をくわえている白狐がいます。くわえている宝物にはそれぞれ以下のような由来や意味があります。

稲穂:五穀豊穣(農作物の豊作)の神に由来
玉:伏見稲荷大社の霊徳(神秘さを感ずるほどにすぐれた徳)の象徴
鍵:霊徳を身に付けたい願望の象徴
巻物:知恵の象徴

おもかる石

「おもかる石」は、千本鳥居を通り抜けた先、奥社奉拝所の右後ろにある占い石。石でできた灯篭(とうろう)が2つ並んでいるので、まずは灯篭の前で願い事を唱えます。その後、「おもかる石(灯篭の「空輪」 と呼ばれる頭の部分)」を持ち上げます。その際に、想像していたよりも「軽い」と感じたら願い事は叶い、「重い」と感じたら願い事は叶わないと言われています。最近ではメディアに取り上げられるほどの人気スポットで、休日の昼間に行くと行列ができているので要注意!

四ツ辻からの景色

本殿から約40分ほど参道を上った先にある「四ツ辻」は、標高約165mから京都市内を一望できる参道随一の絶景スポット!稲荷山の山頂は実はあまり見晴らしが良くないので、ぜひ四ツ辻で足を止めてみてください。広場に置かれたベンチで休憩もできますが、時間に余裕のある方は150年前から続く茶屋「にしむら亭」がおすすめです。築100年の趣ある古民家で、「いなり寿司(850円(税込))」や「なべ焼うどん(1,100円(税込))」、「ひやしあめ(450円(税込))」を食べながら景色を一望できます。四ツ辻から山頂までは、右回り・左回りの2ルートがあり、右回りのほうが勾配がゆるやかです。

二ノ峰

稲荷山には、神蹟(しんせき)と呼ばれるかつて神様をまつっていた祠(ほこら・神様をまつる建物の中でも比較的小さな建物)が全部で7つあり、神蹟を巡ることを「稲荷お山巡り」と言います。「ニノ峰」は別名「中社神蹟」とも呼ばれ、「一ノ峰(上社神蹟)」「三ノ峰(下社神蹟)」と合わせて、神々が降臨した場所として7つの神蹟の中でも特に崇められています。ニノ峰にまつられているのは「青木大神」。「青木大神」は「猿田彦大神」であるとも言われています。「猿田彦大神」は道開きの神様と呼ばれているため、困難な状態にある人や新しい挑戦をしたい人に特にご利益があると考えられています。

一ノ峰

稲荷山の山頂、標高233mに位置する「一ノ峰」。今から1300年以上も前に「稲荷大明神」が降臨した場所と言われており、まさに伏見稲荷大社はじまりの場所。「一ノ峰」には「末広大神」がまつられており、「末広大神」は「大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)」と同一であるとされ、商売繁盛のご利益があると言われています。パワースポットとして観光客に人気があり、長い時間をかけて「一ノ峰」まで参拝する方も多いです。また参拝所の奥には無料で引けるセルフおみくじがあり、よく当たると評判です!頑張って山頂まで登ったからこそ、おみくじの内容がより心に響くのかもしれません。

御劔社(みつるぎしゃ)

一ノ峰から少し下った所にある「御劔社(長者社神蹟)」は、稲荷山にある7つの神蹟の1つで「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」がまつられています。御劔社のすぐ横には剣の形をした大きな「劔石」があり、その高さはなんと約3mと圧倒される迫力。「劔石」は、これまでたびたび落雷があったことから「雷石」とも呼ばれています。度重なる落雷の理由は、雷の神様である「賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)」が「御劔社」にまつられている母親(玉依姫命)に会いに来ているからであるという伝説があります。また「焼刃の水」という井戸もあり、水を持ち帰ると運気が上がると言われています。

御膳谷奉拝所

「御膳谷奉拝所」は、古くは三ヶ峰(一ノ峰・ニノ峰・三ノ峰の総称)にまつられる神々のためにお酒や食事などのお供え物を用意していた場所です。昔は三ヶ峰それぞれに直接お供えをしていましたが、現在でもその風習が残り朝と夕方に祈祷殿にある「御饌石(みけいし)」という石の上にお供えをしています。毎年1月5日に開催される「大山祭」では、70枚の土器にお酒をついで御饌石の上にお供えする「山上の儀」が催されます。また、四ツ辻から山頂の間で唯一の社務所があるので、お守りや御朱印を授かることができます!

きつねの絵馬

お願い事をするときやお願い事が叶ったお礼をするときに奉納する絵が描かれた木の板のことを「絵馬」と言います。「絵馬」という名前は、神社に祈願するときに奉納していた生きた馬の代わりに、馬の絵を描いた板を納めるようになったことに由来します。伏見稲荷大社には、稲荷大神様の使いと言われている白狐をモチーフにした「きつねの絵馬」があります。表は狐のつり目だけが書かれているので自由に書き足して自分好みの表情にできます。個性豊かな絵馬が並んでいるので、時間がある方はぜひ他の白狐の表情を見てみるのも楽しめるコツです!「きつねの絵馬」は、1つ500円で購入できます。

鳥居の絵馬

千本鳥居に自分の鳥居を奉納してみたいけどさすがに金額的に難しいと思った方におすすめしたいのが「鳥居の絵馬」。千本鳥居と同じ朱色の鳥居をモチーフにした絵馬で、本殿横の祈祷受付所で1つ800円で購入できます。一般的な絵馬のように願い事を書く欄が設けられていないので、鳥居の柱に名前と願い事を自由に書き込んで絵馬掛け(記入済みの絵馬をかける専用の場所)に奉納できます。みんなの願いが込められた鳥居の絵馬が重なる様子は、まさに千本鳥居を思い起こさせます。

社務所

本殿の横にある「社務所」では、伏見稲荷大社のお守りや御朱印を授かることができます。お守りは、商売繁盛や家内安全、厄除けや交通安全など定番物はもちろん、「達成のかぎ守(1,000円)」や「達成の巻物守(800円)」など白狐をモチーフにした物や「千本鳥居の守り(800円)」といった幅広い種類があります。また御朱印は社務所以外にも「奥社奉拝所」と「御膳谷奉拝所」で授かることができ、それぞれ種類が異なります。参拝は24時間365日できますが社務所が開いているのは7:00 am 〜 6:00 pm頃、さらに御朱印の受付時間は9:00 am 〜 3:30 pm頃と時間が決まっているので要注意。「奥社奉拝所」には限定のお守りもあります。

夜のライトアップ

昼間の参拝ももちろん楽しめますが、ライトアップされた伏見稲荷大社もまた格別!ライトアップの時間は明確に決められておらず、毎日暗くなったらライトアップが始まります。特におすすめは「楼門」と「千本鳥居」。夜の伏見稲荷大社で真っ先に目に飛び込んでくる「楼門」は、ライトに照らされとても幻想的な雰囲気を醸し出しています。「千本鳥居」は灯篭の明かりにほのかに照らされた暗いトンネルを歩き進んで行くので、暗いのが苦手な方はお気をつけください。

周辺の観光スポット

伏見稲荷大社の周りには、神社・仏閣をはじめ見所満載の観光スポットがたくさんあります。今回はその中でも特におすすめのスポットを3つご紹介します!

裏参道商店街

伏見稲荷大社へ向かう参道は、表参道と神幸道の2つがあります。神幸道は裏参道とも呼ばれており、通り沿いにお土産や雑貨店、飲食店や宿泊施設が立ち並んでいます。裏参道のちょうど真ん中あたりに位置する和テイストの「伏見稲荷参道茶屋」では、米麹でつくる昔ながらの甘酒(350円)や宇治抹茶とつくりたてサクサク最中のセット(550円)を味わえます。他にも、せんべい専門店の「寺子屋本舗」や京土産の定番・八ツ橋が購入できる「聖護院八ッ橋総本店稲荷店」など寄りたいお店が目白押し!

東福寺

1255年に19年の歳月を費やして完成した「東福寺」。「東福寺」という名前は、奈良にある「東大寺」と「興福寺」のような寺院になれるようにと祈願して1文字ずつ取って付けられました。東福寺のベストシーズンは秋。京都随一の紅葉スポットで、約2,000本の楓が色づき、「通天橋」から眺める景色はまさに絶景。重要文化財と日本百名橋に指定された「偃月橋(えんげつきょう)」も歴史を感じることができるおすすめスポット。

藤森神社

約1800年前に建てられた「藤森神社」は12柱の神様がまつられており、現在では勝運と馬の神様として競馬関係者や競馬ファンの間で人気の高い神社です。5月1日〜5月5日には伝統行事「藤森祭」が開催され、最終日には馬に乗りながら敵矢の中を駆け抜けたり、馬の上で逆立ちをしたりと様々な技が繰り広げられる「駆馬神事」や武士の格好をして地区内を歩く「武者行列」といった行事が行われます。現在の日本では5月5日を「こどもの日」としてお祝いをしますが、「武者行列」がその起源と言われています。

参拝時の注意点

伏見稲荷大社は神聖な場所なので、以下のような行動は特に慎みましょう。

・立ち入り禁止の場所への侵入や撮影禁止場所での写真、動画撮影
・大声で騒いだり、境内に座り込むなど参拝者の迷惑になる行為
・コスプレなど奇抜な服装で境内を歩くこと
・歩行中の飲食やゴミのポイ捨て
・喫煙や火気を使用すること
・ドローンやラジコン飛行機を飛ばすこと
・狭い参道で三脚を使用して写真撮影をすること
・野生動物に近づくこと

「千本鳥居」や「おもかる石」といった人気スポットから個性的な絵馬まで、「伏見稲荷大社」の見所をたっぷりとご紹介しました!稲荷山も含めて全て回ると2時間ほどかかるので、事前に必ず行きたいスポットを絞るか時間に余裕を持って参拝するのをおすすめします!

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

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