「被爆ピアノ」音色で平和実感を 藤沢でコンサート

コンサートで使用される被爆ピアノ(実行委作成のチラシから)

 1945年8月6日、広島への原爆投下の惨禍の下、奇跡的に残った「被爆ピアノ」を使ったコンサートが29日、藤沢市鵠沼石上のカトリック藤沢教会で開かれる。同教会の信者有志らを中心とした実行委員会の主催。

 被爆ピアノが復活したのは2005年。持ち主で被爆者の女性が、爆風によって大きく損傷したピアノの修理を、広島市の調律師で被爆2世の矢川光則さんに依頼したことがきっかけだった。

 女性から壮絶な被爆体験を聞いた矢川さんは、被爆ピアノを活用して平和の大切さを伝える活動を開始。4トントラックにピアノを積み、全国を巡ってコンサートを開いている。

 矢川さんの取り組みを新聞記事などで知った実行委のメンバーが、昨年春から藤沢でのコンサートを計画。矢川さんをはじめ、ピアニストの鮫島明子さんらの協力を得て今回のコンサートが実現することになった。

 当日は被爆ピアノの演奏のほか、矢川さんが思いを語るコーナーも設ける。実行委代表の曽根和子さんは「次の世代に残すべきものは平和だとの思いで企画した。被爆ピアノの音色を間近で聞き、触れて、平和の大切さを実感してもらえれば」と話している。

 午前11時からと午後2時からの2回。チケットは一般800円、中学生以下500円=全席自由。問い合わせは、曽根さん電話090(3400)4205、同教会電話0466(27)2787。

© 株式会社神奈川新聞社