熊本城10月5日から特別公開 復興の道筋、歩いて実感

©株式会社熊本日日新聞社

天守閣前広場から見た天守閣

 熊本地震で被災し、復旧工事が進む熊本城の特別公開がいよいよ10月5日に始まる。「復興のシンボル」として天守閣の工事が最優先で進められ、大天守は被災前の威容をほぼ取り戻した。地震直後から立ち入りが規制されてきた城内に、3年半ぶりに市民らの歓声が戻ってくる。

 地下1階、地上6階の大天守(高さ約30メートル)は外観の復旧工事がほぼ完了した。真っ白な壁や屋根のしっくいが秋空に映え、空を突き抜けるような姿が頼もしい。来場者は天守閣前広場で正面から見ることができる。地震前の出口部分だった大天守の附櫓[つけやぐら]は工事が残っており、年内にも完了する。内装工事は4~6階を終え、地下1階~地上3階が進められている。

 小天守(地下1階、地上4階)は石垣の修復が終わり、1~2階部分を解体。屋根瓦を乗せ、しっくいで仕上げるなど上層部から復旧を進めている。

 公開エリアは二の丸広場から2本の工事用スロープを通り、東側の天守閣前広場まで歩くコース。

 天守閣は順調に工事が進むが、それ以外の復旧はまだまだ。このため、解体・撤去された元太鼓櫓や西大手門跡の周辺では、石垣の内部にあったグリ石を詰めた籠[かご]で壁を造り、来場者の安全を確保。西出丸右手では南大手門が鉄骨で補強されている。

 頬当[ほほあて]御門があった場所では冠木[かぶき]門と料金所が撤去されている。ここから天守閣西側の平左衛門[へいざえもん]丸まで、第1スロープ(幅6・6メートル、長さ98・2メートル)を通ると、撤去された続櫓跡が見える。櫓跡を支える高さ約21メートルの石垣は一部に大きな膨らみが見られ、変形を防ぐために樹脂性ネットが掛けられている。すぐ近くの宇土櫓も被災直後の姿をとどめている。

 「復興の象徴である大天守と併せて、宇土櫓などに残る地震の傷痕も見てほしい。ただ完全復旧にはこれから長い道のりがある。専門家の意見を聞きながら文化財としての価値を保ちつつ、着実に復旧させていく」と熊本市の熊本城総合事務所。

 市は特別公開を復興の第1弾と位置付ける。第2弾は来春の特別見学通路の開通だ。天守閣の完全復旧に併せた2021年春の内部公開が第3弾と続く。

 完全復旧は37年度。記憶の中の熊本城の姿を取り戻すまで見守っていきたい。(文・飛松佐和子、写真・横井誠、池田祐介)

メモ 特別公開は原則、日・祝日の午前9時~午後5時。10月5日と7~11日は午後1時~午後5時。土曜日の一部と年末年始にあたる11月30日、12月7、14、30、31日、来年1月4日も公開予定。入場券は、二の丸広場か城彩苑・熊本城ミュージアムわくわく座の券売所で販売。入場料は高校生以上500円、小中学生200円、未就学児は無料。事前予約は不可。問い合わせは熊本城総合事務所TEL096(352)5900。

(2019年9月28日付 熊本日日新聞朝刊掲載)