「ポールポジションを取って、5番手降格のペナルティを受けて、6番手からスタートしたい」
ロシアGP直前、マックス・フェルスタッペンはそう抱負を述べていた後、「でも、現実的には予選は4番手か5番手だろう」とも語っていた。
果たして、ロシアGPの予選でフェルスタッペンの順位は4番手だった。
「今回のようなパワーサーキットでの予選は簡単にはいかないことは予想していた。最終セクターで風の影響を受けて、オーバーステアを出し、マシンのポテンシャルを最大限引き出すことができなかったけど、今日は4番手以上は無理だったと思う」(フェルスタッペン)
なぜ、金曜日のフリー走行でフェルスタッペンはトップタイムを記録していたのに、土曜日になって失速したのか。田辺豊治F1テクニカルディレクターは、こう語った。
「セクター1、2、3のバランスが全体的に金曜日と違っていたというコメントをドライバーが言っていました」
じつは金曜日のフリー走行2回目での最高速は、フェルスタッペンがトップで時速333.0kmだったのに対して、土曜日の予選では時速317.3kmと約16kmも遅くなり、順位は18番手だった。つまり、金曜日から土曜日にかけて、レッドブル・ホンダのマシンはダウンフォースを増す方向にセットアップを変えていたようなのである。
その理由はわからないが、レッドブル・ホンダがQ2でメルセデスが採ったようにミディアムタイヤを選択せず、ソフトタイヤでベストタイムをマークしたことにヒントが隠されているかもしれない。
フェルスタッペンはQ2でミディアムを選択しなかった理由を「メリットがないから」と答えた。ただし、最も軟らかいソフトタイヤはレース序盤にタイヤが傷みやすい。そこでダウンフォースをつけて、少しでもタイヤを労わろうとしたのではないか。
■「フェラーリとのギャップはさらに大きくなった」と田辺TD
フェラーリもレッドブル・ホンダ同様、Q2でミディアムを選択しなかった。ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールは金曜日に時速325.4km出ていたが、予選では時速320.5kmと若干スピードが落ちた。ただし、レッドブル・ホンダほどではなかった。
フェルスタッペンは「フェラーリはいつも予選までパワーユニットを最大出力で使わない傾向がある」と説明し、田辺TDは「フェラーリの速さについては、いい仕事をしているとか言えない。フェラーリとのギャップはこのところ、さらに大きくなったと言わざるを得ない」と厳しい表情だった。
予選を4番手で終えたフェルスタッペンは、このグランプリで5基目のICE(エンジン)を投入したことによる5番手降格のペナルティを受けて、日曜日のレースは9番手からスタート。チームメイトのアレクサンダー・アルボンはQ1でクラッシュしたため、ピットレーンスタートが予想される。ともに、予想していたポジションからのスタートとはならなかったレッドブル・ホンダのふたり。日曜日のレースに向けて、田辺TDはこう意気込みを語った。
「ほかのクルマと絡むようなことなく、次につながる走りを期待したい。次の日本GPに向けて勢いがつくような、いいレースを披露してもらいたいですね」
日曜日のソチ・オートドロームは、ドライコンディションの下、レースが行われるとの予報が出されている。