今回はモンスターハンティング
見てください。このモンスターフィッシュを!
今回狙ってきたのは、ヨーロッパオオナマズ。別名、ウェールズキャットフィッシュです。
全長は最大3メートル。体重最大200キロ以上にまで成長すると言われる、まさにモンスター級の怪魚。
そんな魚と激闘を繰り広げてきました。
まさに“最強”
(タイ国水産局による厳格な規制下で正当に漁獲されたメコンオオナマズ)
メコンオオナマズ、ピライーバなどと言った巨大淡水魚が密漁による乱獲・河川整備による環境変化によって次々と生息数を減らしている今日。
なんとヨーロッパオオナマズはどんどん生息数や生息域を拡大させているそう。
ヨーロッパオオナマズ……強すぎじゃない?
ヨーロッパオオナマズの難易度
さて、恒例の釣獲難易度から……伊豆半島のタマンと同等のDクラス!
外来魚問題にまで発展する程、数が増えてしまっているヨーロッパオオナマズ。ヨーロッパ各国で簡単に狙うことのできる魚になっています。
僕たちが利用した現地ガイドも、ノーフィッシュ保証をしている程です。
さらに、釣れるサイズも大型化しており、100ポンド(約45キロ)オーバーも珍しくないとのこと。
本当にそんな簡単に釣れるのか? 情熱の国、スペインでの釣行記をお楽しみください!
いざ、情熱の国へ
難易度に関係なく、ナマズ溺愛者の僕にとっては憧れの魚なんです。
そんなヨーロッパオオナマズを求め、ドバイを経由しスペイン・バルセロナへ向かいました。
まず向かうのは
どの旅先でも欠かさないこと。
それは市場巡りです。市場である程度の魚類層と住民の嗜好が把握できます。
流石バルセロナ!海産物の宝庫ですね!
ヨーロピアンシーバスとも初対面を果たし、気分上々でヨーロッパオオナマズが潜む街へ向けて出発しました。
半砂漠性気候!乾燥した大地へ
バルセロナから西へ車で約3時間。カタルーニャとアラゴンの州境にある街メキネンサが今回のヨーロッパオオナマズナマズ釣りの舞台です。
さっそく大きなモニュメントがお出迎え。
この街はヨーロッパオオナマズで賑わう街と言っても過言ではないほど、オオナマズ釣り師の間では有名な場所です。
今回はレンガ造りの長屋に1周間滞在します。
家具家電は揃っており、他のオオナマズ釣り師と家をシェアしつつ、オオナマズ釣り三昧の始まりです!
早速部屋に飾られたアルバムを開くと過去の釣果写真が沢山!
釣り好きが集まれば、会話は途切れることなどありません。
いよいよ実釣開始!
ヨーロッパオオナマズは、餌釣り・ルアー釣り・トローリング・フライフィッシングなどどんな釣り方でも狙える魚です。
それぞれに面白さや難易度の差がありますが、最もポピュラーなのは餌釣りです。
僕たちが訪れたメキネンサでは、魚病対策の観点から生死に関わらず魚を餌に使用することが禁止されているため、エサ釣りを行う場合は魚粉を固めて作ったペレットを使用します。
仕掛けはこのような形です。どこでもブッコミ釣りは似たような仕掛けになりますね!
ペレットはボイリーでおなじみの、ヘアリグで取り付けています。
ポイントまで距離180m!
僕たちが選んだ釣り方は至ってシンプルです。
オオナマズが回遊するという実績ルートに船で仕掛けを運び、とにかく待つ。
ペレットは非常に硬く作られているため、小魚に突かれても割れることはありません。
その強度は水中で6時間以上も形を残ほど! なので、1日の打ち返しはなんと3回だけ。
仕掛けの投入が済めば、あとはただひたすら待つのみ。
焦らず、根気よく。とにかく待つ事が最も重要なテクニックです。
早速!ヒットォーー!
僕の竿に取り付けたバイトアラームが鳴りました!
魚との距離が180mも離れているため、しっかりと糸のたるみ取ってから……。
渾身のフッキング!
この後も何度も追い合わせを入れて、フックをしっかり貫通させます。
2度に分け10メートルほどの距離を走られますが、ポンピングで一気に主導権を握ります!
ファーストファイトかつ、魚との距離が離れすぎていてどうにもサイズ感が分かりません。
とにかく魚が遠い!
時折訪れる強烈なヘッドシェイクを耐えながら、憧れの一匹を早く抱きたいという焦りを押し殺し、慎重に寄せてきます。
弟のマサが大きな口をしっかり捕まえ無事キャッチ!
とうとう念願のヨーロッパオオナマズを抱くことができました! サイズも悪くない!
難易度Dと想定し、釣れて当たり前という前評判。
ヨッシャー! というより、釣れてホッとしたのが正直なところ。
このポイントは6〜10時、13〜24時の間に釣りをおこなうことができます。
昼間3時間は、カヤックなどの釣り以外の船が優先される時間帯になっていました。
因みに24時まで釣りをすると……毎日こんなスケジュールになります。
一日のスケジュール!
はい。なんとも幸せで過酷すぎますよね(笑)
オオナマズの顔を見ることができたので、オオナマズ釣りの合間を塗って、のべ3日間ボートを借りてザンダーやパーチ、ヨーロッパで大人気の鯉釣りを楽しんで見ることに!
川底をメタルバイブレーションで探ると早速釣れました!
ヨーロピアンパーチです。最大で50センチまで成長し、ルアーフィッシングの好ターゲットしてヨーロッパ各地で人気者です。
また、食味も良いため、夕食用にキープしました。
小さいながらも、初めてのザンダーを釣ることができました!
ザンダーは1メートル前後まで成長するフィッシュイーターで、ヨーロッパからロシア東部において釣りの対象魚として人気があります。
毎日釣り三昧ですが、偶には早く釣りを切り上げ街を散策したり、自分たちで料理を作ったりして過ごすのも楽しいもの。
釣ったパーチや街で買ったムール貝を使って、スペイン料理を自作してみました。
宿泊している家から釣り場までは徒歩5分!
美味しいもの食べて、気長にオオナマズが掛かるのを待つ。他の魚が釣りたければボートで遠出!
とても優雅な一週間です。
意外と魚種豊富だ!
ミミズを使えばローチと呼ばれるコイの仲間が掛かってきます。
個人的には、こういった誰も狙わない魚が大好きです。
裏メインターゲット登場!
こちらも念願だったヨーロッパ産のコイ! 苦戦しましたが何とか釣ることができました!
姿こそ似ていますが、日本に多く生息するコイ(アムールカープ)とは違う種類です。
ルアーでも!
ここメキネンサでは、ルアーで2mオーバーのオオナマズを狙うことも可能です。
僕はこのサイズ止まりでしたが、目の前の船で100ポンドクラスのオオナマズをルアーで仕留めている場面に遭遇しました。
次はルアー縛りもありかな……って感じさせられる一幕でした。
100ポンドオーバーを目指して
さて、本来の餌釣りに戻ってきました。
朝6時、日の出とともにオオナマズ釣り開始です!
そろそろ一つサイズの壁である100ポンドオーバーを釣り上げたいところ。
つまり……大物狙いということですね!
とは言え、お察しの通りひたすらに待つ釣りです。これと言って大きな作戦変更はありません。
どんな大物がかかっても大丈夫なよう、信頼できる道具を使うことくらいしか僕たちに為す術はありません。
シェアハウスの釣り仲間も順調にオオナマズを釣り上げていきます。
こんな可愛いサイズも。
2メートルオーバーも毎日釣れています!
ほんとに魚影が濃い! というか濃すぎて心配になるほど……この街は、まさにナマズ達の楽園となっていました。
僕の竿にも大物が!?
そして遂に僕のタックルにも!
一匹目よりもヘッドシェイクの幅が大きく、サイズアップを確信します。
毎度の入水捕獲!
竿の復元力と魚の浮力を最大限に活かして、手前のウィードエリアを突破し無事キャッチ。
と思いきや、最後のひと暴れを思いっきりくらいました。
計測の結果
目標だった100ポンドオーバー!
116ポンド=52.2キロ
太さのある綺麗なオオナマズに思わず抱きついてしましました。
今回のスペイン釣行のベストショットとなった一枚。
大満足のサイズ! 至福の一時です。
一週間釣りを共にした仲間たち
彼らもまた、世界中を飛び回る怪魚ハンター達。
また、どこかで会える日があるかもしれませんね。
手ぶら釣行可能
私達は自社のテスト釣行も兼ねていましたので、釣具一式持ち込みましたがスペインでのヨーロッパオオナマズ釣りは、手ぶらで参加可能です。
プロのオオナマズ釣りガイド達が道具は勿論のこと、バルセロナまでの送迎も行ってくれます。
釣りをしたことがない方でも手軽に楽しめるアクティビティですね!
バルセロナ観光のついでも全然ありなのです。
釣具を持っていくとしたら
システムエラー無く気分良く釣りがしたい場合は、メインラインとリールだけでもご持参することをオススメします。
今回のガイドが用意していた糸は目立った傷もなく良質なものでしたが、海外のガイドでよくありがちなのが、傷だらけのメインラインやびっくりする程ガタついたローギアなリールが出てくることがあります。
メインライン PE8号300メートル以上
ポイントによっては、岸から250メートル程ボートで餌を運ぶ事がありますので、300メートル以上が必要です。
リール 石鯛用リールが最適か!?
ボートで仕掛けを投入するこの釣りにはスピニングよりもベイトリールが適しています。
スピードマスター石鯛3000TだとPE8号を350メートルほど巻くことが可能です。
フック 信頼の日本製がベスト!
大物釣りにおいて僕がよく使用するのはオーナー社製のカットゴリラシリーズです。
ペレットを使用するヨーロッパオオナマズ釣りには#8/0が一番でした。
あとがき
スペインはヨーロッパオオナマズ移入国であり、原産国を見たわけでは有りませんが、巨大生物が世界中で減少する中でヨーロッパオオナマズは明らかに増えていると実感した旅でした。
低水温に対応しながら高水温を好むという温度耐性や成長速度の速さ、餌に対する嗜好性の低さなど、生き物としての強さを感じます。
同時にこの魚の生息域は経済が発展している国が多いため、自給自足的な暮らしを営む人々が少ないことも大きな要因だなと思いますね。
メキネンサの街は、毎日世界中からオオナマズ釣り師が集まってきます。
皆が持続的にオオナマズを利用するため、各自がルールを守って釣りを楽しんでいました。
過去に何度も釣られたであろう、目立たぬ古傷を持ったオオナマズが多かったのが印象的でしたね。
我々釣り人が大切に魚を扱うことで、巨大魚であっても長く釣りを楽しむことができるのだと実感しました。
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
初めての1匹を求めて世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。