明治安田J3第24節は29日、7試合を行い、カターレ富山(5位)は県総合運動公園陸上競技場でガイナーレ鳥取(6位)に5-0で快勝した。Jリーグ参入後初の4連勝で通算10勝8分け6敗とし、勝ち点を38に伸ばした。順位は変わらない。
前節に5-0で大勝した富山は、この日も相手を圧倒した。前半19分、MF佐々木陽のクロスをMF白石が合わせて先制。同22分にはペナルティーエリア内でパスを受けたFW大谷が相手DFをかわしてシュートを突き刺し、2-0で折り返した。
後半15分に途中出場のFW高橋(射水市出身)が得点。同40分に大谷が再びゴールを決めると、同44分にもFW平松がネットを揺らした。2試合連続で5点を奪った。
昨年11月からけがのため長期離脱していたMF椎名が後半39分に途中出場し、約11カ月ぶりに復帰した。
次節は10月6日午後2時から、大阪府のパナソニックスタジアム吹田でG大阪U-23と対戦する。
■攻撃的サッカー成熟
2試合連続の5得点で相手を粉砕した。富山は決定力不足に悩んでいたリーグ前半戦がうそのようなゴールラッシュで勝利し、攻撃的サッカーが成熟し始めていることを証明した。
安達亮監督が目指す「誰でも点が取れる攻撃の形」が浸透してきた。少ないタッチでパスをつなぎ、最後はボールに触るだけでゴールを決めることができるクロスやラストパスに持ち込む形だ。
この日の5点目が象徴的だった。ペナルティーエリア右から前嶋と椎名のワンツーで崩し、ピンポイントのクロスを平松が左足で合わせた。安達監督は「狙い通り。ずっとやり続けてきた形だ」と評価した。
指揮官は「メンタル面の変化が大きい」とも指摘。逆転勝ちした第21節相模原戦、退場者を出しながら2-0で勝利した第22節讃岐戦と、苦しみながらも勝ち点3を得る試合が続き、選手に自信がついた。その自信が冷静な判断力やゴール前での余裕につながり、得点の量産を生んだ。
前節からの計10得点を7人が決めていることも好調の証だ。初の4連勝に3試合連続の完封と攻守両面の成長が数字にも表れた。これまでにない強さを、富山はまといつつある。(社会部・久保智洋)
■椎名が大けがから復帰
後半39分、選手交代を告げる電光掲示板に背番号「22」が示されると、スタジアムが大きな拍手に包まれた。昨年11月に右膝全十字靱帯(じんたい)を断裂し、戦列を離れていた富山の椎名がピッチに立った。頼れるファンタジスタが帰ってきた。
膝の靱帯断裂の大けがは4度目。過去3度はすぐに復帰を目指したが、今回は「決断する時が来たかな」と引退も考えた。再び選手としてピッチに立つ決意を固めたのは周囲の支えがあったからだ。
「サッカーしたいんだろ」。悩んでいた中、安達監督やチームメートらからの言葉に救われ、吹っ切れた。クラブも昨季終了後に契約を更新してサポート。懸命なリハビリの末、ついにホームスタジアムで復帰を果たした。
約10分の出場だったが、巧みなヒールパスで5点目に絡む活躍を見せた。「収穫のあるプレーだった。これからもっとチームに貢献していきたい」。好調のチームにさらなる追い風を吹かせるつもりだ。
富 山 5 - 0 鳥取
2 (前半) 0
3 (後半) 0
▽得点 【富】18分 白石 22分 大谷 60分 高橋 85分 大谷 89分 平松 ▽交代 【富】55分 佐々木陽→高橋 77分 花井→脇本 84分 白石→椎名 【取】60分 鈴木→ガブリエル 64分 魚里→小林 72分 高畑→ユリ ▽警告 【取】1分 可児 83分 ユリ ▽シュート 【富】18【取】6 ▽観衆 2656人
【富山】 GK 1 榎本 哲也 DF 3 代 健司 DF 5 今瀬 淳也 DF 19 柳下 大樹 MF 6 碓井 鉄平 MF 7 佐々木 陽次 MF 14 白石 智之 MF 20 花井 聖 MF 24 前嶋 洋太 FW 27 大谷 駿斗 FW 37 平松 宗 控えメンバー GK 21 太田 岳志 DF 2 脇本 晃成 MF 15 ルーカス ダウベルマン MF 22 椎名 伸志 MF 25 伊藤 優汰 FW 11 才藤 龍治 FW 8 高橋 駿太
【鳥取】 GK 1 北野 貴之 DF 15 上松 瑛 DF 4 井上 黎生人 DF 38 高畑 奎汰 MF 41 魚里 直哉 MF 16 星野 有亮 MF 7 可児 壮隆 MF 27 福村 貴幸 FW 8 三沢 直人 FW 13 林 誠道 FW 39 鈴木 国友 控えメンバー GK 21 井上 亮太 DF 18 西山 雄介 DF 20 大屋 翼 MF 19 小林 智光 MF 6 池ヶ谷 颯斗 FW 11 ヴィートル ガブリエル FW 9 ユリ