SNSで犯罪に加担、高校生逮捕 教育現場への波紋

長崎県警、長崎県教委 突きつけられた危機感

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現役の長崎県立高校生が詐欺容疑で逮捕された。県警や県教委に波紋が広がっている=佐世保市、四ケ町アーケード(写真はイメージ)

 8月中旬、佐賀市内で70代の女性がキャッシュカードをだまし取られる事件が発生した。詐欺容疑で逮捕されたのは、佐世保市在住の長崎県立高校3年の少年=当時(17)=。「お金が必要だった」と話しているという。長崎県教委高校教育課によると、現役の県立高校生が詐欺の疑いで逮捕されたのは「おそらく初めて」。長崎県警や長崎県教委の関係者に波紋が広がっている。

 佐賀県警佐賀南署によると、少年は犯行グループの中で、キャッシュカードの受け取りや現金の引き出し役を担ったとみられる。

 「闇バイト、グレーバイトあります。即金ほしい人。お金に困っている人」

 少年は、会員制交流サイト(SNS)でこのような投稿を見つけた。
 「お金が必要です。グレーバイト、闇バイトでもやります」
 そう書き込むと、犯行グループからダイレクトメッセージが届き、具体的に指示を受けた。

 8月16日、犯行グループは家電量販店従業員を名乗り、佐賀市内の70代の女性宅に電話をかけた。「あなたの名義で当店の商品が購入されています。カードが不正に利用されているので交換が必要です。今から取りに行くので、渡してください」

 その後、少年は女性宅を訪問。キャッシュカード4枚を受け取り、うち1枚からコンビニの現金自動預払機(ATM)で50万円を引き出した。
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 「欠席はないし、学校でのトラブルもない。普通の生徒だった。まさか、逮捕されるなんて…」
 少年が通う高校は驚きを隠せない。

 校長は「規範意識を醸成する教育はさまざまな場面でしている。ただ、特殊詐欺については、被害に遭わないようにするための指導が多かった。これからは、加害者にならないための教育が必要だと感じた」と語る。

 長崎県警はこれまで、高校生が就職や進学で都会に出た際に特殊詐欺に巻き込まれる危険があるとして、卒業前に注意を呼び掛けてきた。しかし今回の事件は、SNSの発達に伴い、地方の現役高校生でも当事者になり得るという現実を突きつけた。長崎県警生活安全企画課は「もう都会だけの問題ではない」と危機感を抱く。

 少年の逮捕を受け、同課は特殊詐欺に加担したり、被害に遭ったりしないよう呼び掛けるチラシを長崎県教委に提供。長崎県教委は全ての県立高校に配布し、指導を促した。今後は校長や教頭の研修会などに長崎県警の担当者が出向き、講習会を開く予定だ。

 同課は「県警と県教委などの連携が必要。子どもは精神的に未熟なので、多くの大人が関わり、社会全体で守ることが大切」としている。