電動SUVを使用したエレクトリック・オフロード・レーシングシリーズとして2021年の創設が予定されている『Extreme E(エクストリームE)』に、F1で数々の名車をデザインしてきた“奇才”エイドリアン・ニューウェイと、ABBフォーミュラE選手権を連覇したジャン-エリック・ベルニュがタッグを組み、Veloce Racing(ヴェローチェ・レーシング)としてエントリーすることが発表された。
“世界でもっとも革新的なモータースポーツチーム”を標榜するヴェローチェ・レーシングは、レース系Eスポーツの分野で成功を収めているヴェローチェ・Eスポーツの姉妹組織として設立された。
同チームは、気候変動や地球環境保全といった環境問題に対して、モータースポーツを通じて電気自動車が持つ可能性を示すとしているエクストリームEへの参戦をアナウンスした。
またチームはエクストリームE参戦を決めた重要な要素として、シリーズが氷河や熱帯雨林、砂漠、海洋など地球上に存在するさまざまな自然環境のエリアを開催候補地にしていることを挙げている。
ヴェローチェ・レーシングとしても人類が直面している環境課題に対する認識を高め、環境改善を積極的に目指すべく各地でプロモーション・プロジェクトを展開し、エクストリームEが掲げる目標の達成をサポートするという。
チームのマネジメント陣には、ロンドンで活躍する3人の若手コマーシャル・ディレクターに加え、エイドリアンの息子であるハリソン・ニューウェイも参画。ベルニュを含め、5人が共同設立者に名を連ねる。
F1界に留まらず、世界でもっとも著名なレーシングカー兼インダストリアルデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイは、技術的側面からチームをけん引するテクニカルチーフ的な立場を担うほか、商業銀行のロイズ・デべロップメント・キャピタルの前CEOであるダリル・エールズと、元マルシャF1チーム代表であるアンディ・ウェブが共同代表を務めるという、異例の体制が敷かれている。
「まずはヴェローチェ・レーシングのラウンチを開催できてうれしく思う。そしてエクストリームEの本格的ライセンスを有するフル参戦エントラントとして、チームの立ち位置を確認できたことも喜んでいる」と語ったエイドリアン・ニューウェイ。
「このシリーズは、地球環境の課題に人々の意識を集め、変化を促すための優れたプラットフォームだ。エクストリームEのプロジェクトで可能な限り多く、積極的な役割を果たし、地域環境の再生を支援したい」
「また、水素は将来に向け真剣に検討されるべき燃料源であり、エクストリームEが次世代のエクストリームE-SUVに水素を採用するよう働きかけを行っていくことも誇りに思う」
「ヴェローチェ・レーシングに関わるすべてのメンバーは、レースや競争、最先端のテクノロジーに深い情熱を注いでいるだけでなく、いま世界が直面している環境問題にも取り組んでいる。エクストリームEに関わることは心からの喜びだし、その瞬間が待ちきれないよ」
そして新興チームのリードドライバーを務めるベルニュも「今日、ヴェローチェは新たな1歩を踏み出すことになった。僕はいつだってアレハンドロ・アガグのビジョンを信じており、このエクストリームEの成功も強く確信しているんだ」と続けた。
「僕にとっても、このシリーズのコンセプトが明らかになった瞬間から、参加することは絶対条件だと思ってきた。他の共同創立者と一緒に、僕たちはこれを実現するために信じられないほど懸命に働いてきたし、僕たちなりのやり方で気候変動に対する意識を高める仕掛けをしていきたいと思っている」