話題を呼んだ音楽劇「ふるあめりかに袖はぬらさじ」が博多座に上陸! 主演の大地真央が意気込みを語る

10月18日より、福岡・博多座で上演される音楽劇「ふるあめりかに袖はぬらさじ」。9月上旬、主演の大地真央が福岡市内のホテルで行われた取材会に登場した。

有吉佐和子の戯曲「ふるあめりかに袖はぬらさじ」は、1972(昭和47)年に東京・文学座で初演されて以来、幾度も再演を重ねてきた名作。2017年に大地真央と宝塚歌劇団気鋭の演出家・原田諒氏がタッグを組み、この不朽の名作を「音楽劇」という形でよみがえらせた。

同作が博多座で上演されることについて大地は「この作品は、博多座の劇場(の雰囲気)にぴったりの作品だと思います。再演ということで『良くて当たり前』という厳しさもありますが、素晴らしいスタッフと、新たにキャストも少し変わり、適材適所の素晴らしいアンサンブルでお届けすることができると思います。どうぞ皆さまお楽しみにお待ちください」と意気込んだ。

作品は尊王攘夷運動に世の中が揺れる幕末時代、横浜にある「岩亀楼(がんきろう)」という遊郭が舞台。大地は、お調子者でお人よしな三味線芸者「お園」を熱演する。オファーを受けた当時の心境について聞かれると「えー!と思いましたね。これを私が?って(笑)。どれも素晴らしい大女優、名役者の方がやってこられていますし、最初は少しプレッシャーを感じました。それでも今回音楽劇にするということで、挑戦してみたいと思いました」と振り返る。

これまで数々のヒロインを演じてきた大地は「お園さんは初めての役どころ。ついこの前は『クイーン・エリザベス』という舞台で、女王役をやっていて、今度は三味線芸者という芸者の中でも少し低いと言われる立場。それでも人間臭さや、お園さんという人の魅力を存分に表現できたらという意味で、すごくやりがいのある役だと思っています」と明かした。

また、前回に続き演出を担当する原田氏について「私の昔の作品とかも全部ビデオで見てくださっていて、(宝塚)退団後の舞台もほとんど見に来てくださっていました。私が忘れているようなことも先生の方が覚えてらしたりします。とにかく何でもご存じで、勉強家で、お話がとても楽しいです。お互い言いたいことを言いながら、いい作品をつくろうという気持ちです」と再タッグにも気合十分。

劇中の楽曲については「最初は音頭から始まるんですけれども、懐かしいフォークソング風な感じであったり、ポップであったり、とてもドラマチックだったり、その曲や歌詞が心情をよりクローズアップさせてもらえる。唐突にここから歌うという感じが全くない。セリフの中から自然と気持ちが歌になる感覚です」と語る。作品の持つ情緒や切なさ、滑稽さが楽曲によってさらに強調されるのだとか。

物語は、お園が世話をしていた花魁(おいらん)・亀遊の悲劇を客たちに語り聞かせ始めたところ、話が次第に大げさになってしまうというような内容。そんな作品の見どころを聞かれた大地は「(お園は)うそをついたつもりはなく、面白おかしくと佐藤B作さん(演じる遊郭の主人)から言われて。もともとB作さんが悪いんですよ?(笑)。でも、ある意味今の時代のSNS(会員制交流サイト)でフェイクニュースが広まったりとか共通点があるような気もするんです。お園としては、サービス精神で客を喜ばせようとして言った話がどんどん大きくなっちゃった。その一生懸命さがおかしいというか、今でもあるかなと思いますね。幕末時代の遊郭の話で、女性はまだ蔑視されているような時代。その中でも、明るくたくましく前向きに生きていくお園の姿を見てほしいです」と力強く語った。

© 株式会社東京ニュース通信社