石木ダム完成3年遅れ 2025年度に目標延期

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は30日、2022年度としてきた完成目標を25年度に3年延期する方針を県公共事業評価監視委員会(井上俊昭委員長、7人)に諮問し、承認された。事業は継続する。県によると、建設工事の進捗(しんちょく)が計画より遅れているためという。石木ダムの当初の完成目標は1979年度だった。延期されるのは9回目。

 石木ダムを巡っては9月、県と同市が反対13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの権利を取得。家屋など物件を含まない土地が対象だった9月19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されている。完成目標延期で反対住民との交渉を進める考えとみられる。
 諮問で、県は延期の理由について、ダムに水没する県道の付け替え道路工事が反対派の座り込みなどで遅れ、ダム本体の工程にも影響する見通しになったためとした。新しい工程によると、完成目標は、付け替え道路工事とダム本体工事が24年度、その他の工事と試験湛水(たんすい)が25年度とし、現行目標よりそれぞれ3年ずれ込む。
 有識者らでつくる同委員会は県が実施する公共事業について知事の諮問に応じて審議する県の付属機関。30日は長崎市内で開いた。県は延期に加え、延期などに伴い費用対効果を1.25から1.21に下方修正した上で事業を継続するとの対応方針を示した。委員からは環境への影響や住民に対する説明状況などの質問が上がり、県の方針を原案通り承認した。同委員会は議論を踏まえ、中村法道知事に意見書を提出する予定。

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