「独島が韓国の領土であるとの証拠は何もない」韓国ベストセラー書、衝撃の内容

韓国外務省のイ・サンリョル・アジア太平洋局長代理は9月27日、日本政府が同日の閣議で了承した2019年版の防衛白書は日本の周辺国の軍事動向を説明する部分で、前年版と同じく「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在する」と記したことを受け、在韓日本大使館の実生泰介公使(総括公使代理)を呼び抗議した。

「不快でも仕方ない」

また、韓国国防省も同様に、在韓日本大使館の武官を呼んで抗議している。

韓国において「独島(竹島)問題」は、他の歴史問題と同じく非常に敏感なイシューだ。他の歴史問題については「もう過去のことだから」という見方も出来るが、領土問題は現在進行形であるだけに、いっそう難しいとも言える。

もっとも、韓国は島を実効支配しているのだから、日本からの抗議に「聞こえないふり」を決め込む方が得策ではないかとも思えるが、韓国国民としては、「また日本に国を取られる」との恐怖感があるのかもしれない。

そんな敏感な問題にもかかわらず、韓国のベストセラー書籍『反日種族主義』は、「独島問題」について、韓国における定説を覆す主張を展開している。

李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授ら6人の研究者が執筆した同書は植民地統治下の朝鮮半島で「日本による土地やコメの収奪はなかった」「従軍慰安婦の強制連行はなかった」などと主張し、韓国で物議を醸している。

同書に書かれている「独島問題」に対する見解の詳細は、おそらく日本では数多く論じられてきた内容であると思われるため省略するが、李栄薫氏の次の記述は韓国国民にとっては衝撃的だろう。

「今日、韓国政府が独島問題を国際司法裁判所に持ち込もうという日本政府の主張を受け入れられない境遇にあることは、皆がよく知る事実です。率直に言って、韓国政府が、独島が歴史的にその固有の領土であることを証明するために、国際社会に提示できる証拠はひとつも存在しないのが実情です。読者の皆さんは不快に思うかも知れませんが、国際司法裁判所の公平な法官たちは、そのように判断するはずです。私はひとりの知識人として、その点を指摘せずにはいられません」

もちろん、同書に対しては韓国国内で様々な反論が出ており、これがかならずしも日韓の歴史の「決定版」とは言えない。ただ、「独島問題」が同国内で論争になったこと自体、これが初めてだろう。


しかしだからと言って、韓国世論がこの問題で日本の見方に歩み寄ることはないだろう。今後、ほかの歴史問題が解決することがあるのかないのかもわからないが、仮に解決していくにしても、「独島問題」は最後の最後まで残り続けるように思える。

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