消費税率が今日から8%→10%に。政権にとっては触れたくない?消費税を巡るこれまでの政局ヒストリー

今日10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられます。
単なる偶然かもしれませんが今年2019年は消費税が初めて導入されてからちょうど30周年の節目の年ということをご存知でしたか?。
消費税とその増税を巡る議論はその時々の政局・政権を大きく揺るがしてきました。今回はそんな消費増税の歴史と増税した政権のその後を振り返ってみたいと思います。

~1989年・消費税の導入【竹下内閣】

消費税の導入に関する本格的な議論が始まったのは大平内閣の下でした。1979年1月には「一般消費税」の名前で翌年の導入準備が閣議決定されます。しかし導入には野党のみならず自民党内にも慎重な声がおこり、同年10月の衆院選中に大平首相は消費税導入を断念しました。その衆院選では自民党は大きく議席を減らし、自民党分裂の危機とまで言われる「40日抗争」へと突入。選挙後の首班指名選挙で大平と福田という自民党の両名が決選投票までもつれこむという事態となりました。

1987年には中曽根内閣の下で「売上税」法案が国会に提出されます。しかし同年3月の参院補選で自民党は社会党候補に敗れ、4月の統一選でも自民党への逆風へとつながり、一度も審議されずに廃案となりました。
1988年に入り竹下内閣で消費税法が成立、1989年4月に消費税3%が導入されます。
ですが竹下内閣はリクルート事件を直接の原因として消費税導入直後の同年6月に退陣します。7月の参院選では自民党は単独過半数を割ることになりました。

~1997年・3%から5%に税率引き上げ【村山内閣~橋本内閣】

消費税の税率を5%に引き上げる改正法案が成立したのは1994年11月、村山内閣の下ででした。社会党委員長でもあった村山首相ですが、1995年の参院選で社会党は改選41から16に議席を大きく減らし、翌1996年1月に村山首相は辞任しました。
その後の橋本内閣では1997年に予定通り消費税を5%に引き上げます。しかしこの時期アジア通貨危機や山一証券の破綻などの金融不安も増税に重なり日本経済は冷え込みを見せます。翌1998年に参院選で自民党が敗北したことにより橋本内閣は総辞職することとなりました。

~2014年・5%から8%に税率引き上げ【野田内閣~安倍内閣】

2009年に政権交代を実現させた民主党はマニフェストに4年間は消費増税を行わない旨を掲げていましたが、2010年の参院選の直前に菅首相が「消費税10%」を発言。参院選で惨敗し与党の過半数割れとなります。菅首相の後を継いだ野田内閣の下で消費税率を2014年に8%へ、2015年に10%へ引き上げる法案が提出され、成立しました。
2012年の12月の衆院選で民主党は敗れ自民党が政権に復帰します。安倍内閣の下で2014年4月に消費税率は8%に引き上げられますが、10%への引き上げは2014年11月(2015年10月→2017年4月に)と2016年6月(2017年4月→2019年10月)に二度延期されてきました。
2018年10月には予定通り2019年10月に税率を10%に引き上げることを決め、今日の税率引き上げに至ります。

消費税引き上げた政権のその後は…?

消費税の導入と税率の引き上げを巡る政局や政権のその後を振り返ってみると、現在の安倍内閣を除いて長続きしていないことがわかります。
今年の11月19日には首相在任期間が桂太郎に並び日本の憲政史上トップタイになる安倍首相。安倍政権の下で二度目の消費税率引き上げとなる今回の増税を経て、今後の日本政治の展開はどうなっていくのでしょうか?

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