「あのケガが大きかった」―日ハム中田が振り返った「本当に悔しい1年」

日本ハム・中田翔【写真:石川加奈子】

右手親指負傷により8月13日に登録抹消、チームは大失速

 パ・リーグ5位で全日程を終えた日本ハムの選手が今季を振り返る。第1回は中田翔内野手。7月末に右手親指を痛めて8月に戦線離脱すると、チームも2位から5位に転落した。主将2年目の主砲は「あのケガが大きかった」と悔しさを露わにした。

 首位ソフトバンクを視界に捉えた矢先の負傷だった。0.5ゲーム差に迫った7月31日楽天戦(札幌ドーム)で右手母指球部挫傷を負った中田はその後も4番として6試合連続で先発出場した。しかし、23打数2安打0打点と結果が出ない。満足にバットを振ることができないため、自ら申し出て8月13日に出場選手登録抹消となった。

「最後の方は自分のスイングができなかった。打つ瞬間に右手を離してしまうようなスイングがあったり、これはちょっと足を引っ張っているだけだなと思って」と苦渋の決断で約2週間戦列を離れた。この8月、チームは5勝20敗1分けという大失速。「一番苦しい時にチームのために動けなかったし、本当に悔しい1年だった」と振り返る。

 負傷するまでは手応えを感じるシーズンだった。7月19日に早くも20号に到達し、7月末時点の成績は打率.262、68打点、23本塁打。特に7月は打率.289、7本塁打と調子を上げていた。「チームの順位も良かったからね。個人的にも正直、今まで一番いいんじゃないかなというペースで来ていたので、なおさら悔しい」と言う。

100打点を達成できなかったことが心残り「打点でもっと貢献したかった」

 ケガをしてからは苦しい打席が続いた。「タイムリーを打つのがやっと。途中からはホームランを打つということすら忘れていた。なんとかチャンスメークしたり、チャンスを潰さないようにということだけしか考えていなかったから。そういう気の弱さというのも出ていたと思う」。

 痛みがなくなってからも、打ち方に「変な癖がついてしまった」と本来のスイングを取り戻せないまま、シーズンを終えた。最終成績は124試合出場で、打率.242、80打点、24本塁打。「1度ついた癖はすぐ取り除くことはできない。その中でもがむしゃらにやっていたつもりだけど、(8月と9月の)2か月にホームラン1本というのは本当に情けない。打点にしても、もっとチームに貢献できたんじゃないかなと思います」と語った。

 100打点を達成できなかったことが心残りだ。「打点でもっと貢献したかった。俺はホームランを30本、40本打ちたいという欲よりも毎年100打点打ちたいという欲の方が強い。打点の方が直接の貢献度が大きいと個人的に思うから。ホームランは調子が良ければ、ポンポンと出るもの。打点というのは場面、場面でみんながつくってくれるチャンスなので。バントして犠牲になってくれている奴もおれば、スチールして(ヒット)1本で(ホームに)還れる状況をつくってくれる奴もいる中での打点なんでね。同じ1点でも重みが違うかなと思う」と打点へのこだわりを改めて口にした。

 2年ぶりにBクラスとなり、長いシーズンオフを迎える。「攻撃面で僕を中心にもっともっと打たないと勝てないということが再確認できた。オフシーズン、どんどんバット振ってやっていきたい」と来季の巻き返しを目指す。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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