石木ダム 完成目標延期 推進派は先行き懸念 長崎県、来年度本体着工の意向

 長崎県公共事業評価監視委員会が30日、9度目となる石木ダムの完成目標年度の変更を承認したことを受け、建設推進派からは今後の行方を懸念する声が漏れた。
 「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「早期完成を求めているが、3年延ばすのは県の事情があるのだろう。私たちは待つしかない」と言葉少なに語った。
 石木ダムを巡っては、土地収用法に基づき県と佐世保市が9月、反対13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの所有権を取得した。明け渡しに応じない場合、今後は行政代執行を巡る動きが焦点となる。
 行政代執行の対応を判断する中村法道知事は30日、中国出張中。委員会の審議終了後、県河川課の浦瀬俊郎課長は報道陣に「工事が妨害によって遅れている。来年度から本体工事を一部着工したい」と説明し、「住民の生活再建に努める」と述べた。佐世保市と東彼川棚町はコメントを控えた。
 一方、同委員会の井上俊昭委員長は取材に「反対する人の気持ちも分かるが、既に移転した人の思いも大切にする必要がある。行政代執行だけは避けられるように、粘り強い話し合いを続けてほしい」と話した。

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