石木ダム 完成目標延期 反対派「現場を見ろ」 事業継続に憤り、失望

建設予定地の住民や支援者らで埋まった傍聴席=長崎市元船町、平安閣サンプリエール

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は30日、県公共事業評価監視委員会に完成目標を3年延期して事業を継続する方針を諮問し、承認された。事業継続に、建設反対派からは憤りや失望の声が上がった。
 審議は長崎市内のホテルであり、用意された約40の傍聴席は建設予定地の住民や支援者らで埋まった。ダム事業の必要性を説明する県に対し、傍聴席からは時折「数字を示せ」「ウソをつくな」といったぼやきが漏れた。委員会がダム事業の継続を承認すると、「ちゃんと現場を見に来い」などとやじが飛んだ。
 傍聴した反対13世帯の一人、岩本宏之さん(74)は事業継続について「想定していた内容。知事の言ったことは認めないといけないのだろう」と冷ややか。工期変更については「中村法道知事の(3期目の)任期(2022年3月まで)中に行政代執行について判断したくないのでは」と推測した。
 ダム問題について考える「いしきを学ぶ会」実行委員の森下浩史さん(72)は工期変更を受け「これから市民の関心を高め、政治分野に踏み込めるかが焦点になるだろう」と話した。

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