即戦力、将来有望… ルートインBCリーグ代表が推すNPBドラフト候補たち

選手を試合前に激励するルートインBCリーグ代表の村山哲二氏【写真:荒川祐史】

昨年は6選手がドラフト会議で指名、阪神片山は育成から支配下登録に

 今年も10月17日にドラフト会議が行われる。昨年はルートインBCリーグから6選手(うち4選手が育成ドラフト)がNPB入りを果たした。今年も150キロ右腕や高卒1年目選手など、注目の選手が各地にいる。同リーグの村山哲二代表にNPB入りに近い7選手を紹介してもらった。

○埼玉武蔵ヒートベアーズ 松岡洸希投手(19歳)

 埼玉・桶川西高校出身のBCリーグ1年目の投手。高校までの本職が内野手だった松岡について「1番、期待値が高いです」と断言する。武蔵の角監督と片山コーチが上手投げだった松岡の適正を見抜き、サイドスローにすると急成長した。直球の最速は147キロまで上がり、元ヤクルトで韓国代表だった林昌勇(イム・チャンヨン)投手を彷彿とさせる。

「1番、多くの調査書が届くのではないかなと思っています。まだ、卒業したばかりのあどけない表情の子。去年の今頃はNPBから注目されるなんて思ってもいないでしょうから、体つきはいいし、肩は強いし、体強い。まだまだ出来上がっていない。完成されていないというところの楽しみも含め、多くの球団が注目していると思います」と期待を寄せている。

○新潟アルビレックス・ベースボールクラブ 長谷川凌汰投手(24歳)

 龍谷大から入った2年目の右投手。昨年のちょうど今頃、オリックスとの交流戦で153キロを記録した。NPB3球団から調査書が届き、「かかったなと思いましたけど、指名漏れでした」と村山氏自身も悔しかった。しかし、長谷川は「(来年は)ドラフト1位でかかると宣言し、課題だったコントロールを改善。変化球の制球に難があったんですけど、フォークボールもスライダーもコーナーに決まるようになった」と今年こそはと思いを強くしている。

○石川ミリオンスターズ 喜多亮太捕手(24歳)

 敦賀気比、セガサミーといった名門を経て、BCリーグに来た。「独立リーグで1年勝負という思いで入団した即戦力期待の捕手です。とにかくフットワーク、キャッチング、肩、どれも素晴らしい。投手を乗せるマネジメント能力も高いです」。昨年は片山雄哉(福井ミラクルエレファンツ)が阪神から育成1巡目で指名され、7月に支配下となった。例え育成でも、片山のような支配下選手の戦力に近い位置にいると見ている。

○群馬ダイヤモンドペガサス 青木颯内野手(24歳)

 強打を誇る群馬の中で、守備のショートも堅実で、いいところでタイムリーも打てる。そして、足も速く、盗塁でもアピールができる万能型選手。「総合力でも即戦力。NPBに近い存在の1人だと思います」と高く評価している。

二岡智宏前監督打撃を学び、急成長した富山の23歳外野手も…

○新潟アルビレックス・ベースボールクラブ 樋口龍之介内野手(25歳)

 横浜高、立正大と強豪に進み、新潟の主軸として活躍。今季は70試合に出場し、打率.354(リーグ4位)、19本塁打(リーグ2位)、69打点(リーグ3位)を記録した。「彼を目当てに試合を見に来るスカウトもいます。彼は25歳。19や20歳の子は来年以降もありますが、彼の場合は1年1年が勝負。(NPB入りへ)一縷の望みをかけている。頑張ってほしいと思います」

○埼玉武蔵ヒートベアーズ 加藤壮太外野手(21歳)

 中京高(岐阜)では夏の甲子園に出場し、高卒と同時に独立リーグで技術を磨き、体を大きくした。守備と走塁に関しては非常に評価が高く、センスがあふれている。「武蔵の選手たちが体を一生懸命で大きくしていた。チームでやっているので加藤くんもパワーがついて、強打の1番打者として注目浴びるようになりました。彼も鍛えがいがある」と伸びしろは十分にある。

○富山GRNサンダーバーズ 松村誠矢外野手(23歳)

 圧倒的な武器は足。スカウトの評価は創価大時代から走力だけだったが、二岡智宏前監督(元巨人)から、打撃を学び、急成長した。「本当に二岡監督がマンツーマンでトレーニングして素晴らしい打者に成長しました。楽しみな選手です。大卒の選手は1年、1年が勝負。頑張ってほしいです」

 他にもスカウトがチェックし、調査書が届いている選手もいる。NPB指導者や選手がBCリーグに所属する動きが活発化したこともあり、リーグのレベルは全体的に上がっている。平均月給15万円、オフはアルバイト……点大好きな野球をやるため、夢を諦められずに独立リーグに飛び込んだ選手たち。1人でもその夢が実現することを願いたい。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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