言葉の壁超え 人材確保狙う 経営者の意識変化も必要 共生・長崎 外国人労働者 インターンシップ 受け入れ始まる

社員(右)の説明を受けながらパイプの厚みを計測するナビラさん=佐世保市、大阪鋼管

 日本で就職する外国人留学生が増える中、佐世保市内にも外国人学生のインターンシップの受け入れを始めた企業がある。人材の確保や社員の資質向上が狙い。学生や企業は、受け入れの普及に向け、言葉の壁の解消や経営者の意識の変化が欠かせないと訴える。
 8月下旬。針尾北町の大阪鋼管(坂根毅社長)で、インドネシア出身の大学院生、ナビラ・プラスティヤ・プトゥリさん(24)が真剣な表情でパイプを見詰めていた。取り組んでいたのは完成した製品の厚みを計測する作業。担当の社員は小型の通訳機で英語に訳したり、身ぶり手ぶりを織り交ぜたりして、機器の使い方を指導した。ナビラさんは「日本の職場の雰囲気と、いい製品が作られる過程を知ることができる。自分の強みになるはず」と笑みをこぼした。
 立命館大大学院で機械工学を専攻。卒業後は母国で日系企業への就職を希望している。鉄を扱う物づくりに興味があり、インターンシップの受け入れ企業を探した。しかし、英語で問い合わせても応答がなかったり日本語だけのメールがきたりするばかり。そんな中で対応してくれたのが大阪鋼管だった。「留学生側も、全ての日本人従業員が英語を話せないことは理解するべきだが、受け入れてくれてうれしかった」と振り返る。
 受け入れた企業側にも事情がある。生産管理などの現場には高専卒以上の高度な理系の技能を持つ人材が欠かせない。だが理系の学問は分野が細かく分かれ、求める人材は不足状態。知名度がない中小企業が“一本釣り”をすることは難しい。坂根社長は「『外国人はすぐに辞めるのでは』と思われるが、何もしなければ人は入らない。国籍を問わず採用する方向に進みたい」とする。
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 外国人学生のインターンシップを社員の成長の機会に活用する企業もある。吉岡町の小川工務店(小川寛社長)は5月、セネガルの大学に通うトーゴ出身の女性を約2週間受け入れた。学生は社員宅に滞在しながら事務職の仕事を体験した。
 同社は、人材育成の一環として、長期の海外ボランティアなどへの社員の参加を支援。だが家庭の事情で諦める社員もいた。小川社長は「いかに優秀な人材を集められるかが企業発展の鍵だ。日本人だけの環境では学べないことがある」と意義を強調。「言葉の壁と同時に、外国人に身構える気持ちがあることも課題ではないか。経営者が海外に目を向ける努力も必要だ」と話した。

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