「BOOKSTAND.TV」祝・放送200回記念! スペシャルゲストにいとうせいこうが登場

「BOOKSTAND.TV」祝・放送200回記念! スペシャルゲストにいとうせいこうが登場

カルチャーにまつわる総合サイト「BOOKSTAND」がテレビ番組「BOOKSTAND.TV」となってBS12トゥエルビで放送中です。この番組では、『メルマ旬報』にて編集長を務める水道橋博士と編集者・プロデューサーとして活躍している原カントくんがMCを担当、メルマ旬報で連載されている方をはじめ、さまざまな分野で活躍されている方々を招いて最先端のカルチャーを紹介しています。そしてこのたび、10月4日の放送で番組が200回を迎え、ゲストにいとうせいこうさんが登場! 自著作品について熱い議論が交わされました。興奮冷めやらぬ収録後に、出演者の皆さんへお話をお伺いしました!

──放送200回おめでとうございます! ここまでの道のりは長く感じましたか?

博士「自分のスケジュールの中で喫茶店に行って、雑談をしに来ている場所という雰囲気なので、とても気楽に来ている感じです。長いとは感じませんね」

カントくん「博士さんと定期的に打ち合わせできる場というか、接触できるのでうれしいですよ(笑)。僕も長いとは感じません」

──今までの放送の中で、印象に残っているゲストの方はいますか?

博士「メディアに出ない人で言えば、丸屋九兵衛(まるや・きゅうべえ)という博覧強記な人がいると思ったね」

カントくん「入れ墨がめっちゃ入っていたので、放送がお蔵入りするんじゃないかなと思いましたけど、面白かったです。丸屋さんがBIGBANGをプレゼンして、博士さんが正しい方向だったのか分からないですが、BIGBANGにハマっていったという、印象的な回でしたね(笑)」

──放送200回ということで、ゲストにいとうせいこうさんが登場されましたね。

いとう「そんなに長くやっている番組だったんだと驚きました。博士は秘密基地を作るのがうまいなあという感じですよね。基本的に書評番組ってどんどん減っていて無くなっているから、この番組が唯一なんじゃないですか」

カントくん「そうかもしれないですね。最近は書評になっていない回も多かったですけどね(笑)」

いとう「それは別にいいんじゃないかな。他の書評番組は本に縛られてたから放送が無くなっちゃったけど、そうじゃなくても話す枠があるということがテレビとして足腰が強かったということじゃない? 今日はたっぷり本の話もさせてもらったし」

カントくん「ミュージシャンが書評するというコーナーもありますしね」

──いとうさんから見た、MCお二人の印象は?

いとう「原さんは名前は知っていたんですが、初対面だったんだよね。でも番組進行を見てて、話すのがとても上手な人だなと思ったね。博士とはしばらく会ってなくて心配だったから、今日会えて良かった」

博士「(カントくんを指さし)結構、売れっ子なんですよ」

カントくん「僕は博士さんからの命令で、『いとうせいこうさんの年表を作れ!』と言われて、せいこうさんの半生をまとめていましたよ(笑)」

いとう「俺より俺を知っている男だからね、原くんは(笑)」

カントくん「一方的に仰ぎ見ておりました」

──博士さんにお聞きします。ゲストが来られた時に気を付けていることはありますか?

博士「ゲストにしゃべってもらう…ということですかね。自分で話そうとしちゃうから、分かったつもりになっているところがあるんです。だから、ゲストの方に最初から聞くことはしないように心掛けています。それこそ傾聴(けいちょう)というところを、せいこうさんの著書『ラブという薬』から学ぶみたいな」

──よりしゃべってくれる、話してほしいゲストが来てくれるのがいいですよね。

カントくん「普通だったらテレビに出ない人が、博士さんのつながりで出る番組にもなりましたね。柳田光司さんとか」

いとう「どんな人?」

カントくん「僕もよく知らないんですけど、博士さんが昔お世話になったっていう大阪の放送作家の方ですね。大阪からわざわざ来られて、テレビに出たんですよ」

博士「とにかくマニアが多いんですよ。彼は芸能史を毎日あさってるんです。1日ごとのビートたけしの年表を付けてて、何月何日にどこで何をしていたかっていうことを記録しているんです。それの完成版を目指してたり、『島田紳助の笑いの教科書』を紳助さんがデビュー前に、自分で作ってたっていうその情報だけを頼りに、そこに何が書かれているかを状況証拠だけで類推していくのをやっているんだけど・・・ここまでやっていて読んでいる人は誰もいないっていうね(笑)」

カントくん「出版する前提ではないですからね。博士さんはもともと若い才能や知られざる才能をピックアップするのが素晴らしいので。エムカクさんもすごかったですよね」

博士「エムカクさんは、明石家さんまヒストリーをずっと連載しているんですけど、今はさんまさんの特番のスタッフですからね。明石家さんまに関しては日本で一番詳しい人ですよ。本人公認ですから。さんまさんが、大阪から京都までの新幹線移動の時に、一緒に乗らせてもらって、本人に自分が調べたことの答え合わせを聞くっていうことをしてるんですよ」

カントくん「僕も5年ぐらいエムカクさんと一緒に仕事してますけど、何をやって食べてるか分からなかったですからね」

博士「それも、さんまさんが『自分が自分を書き記すほどやわではない』と聞いて、『だったら自分が全て書きます』って言ってね。彼は今、さんまさんの番組を全て書き下ろししてますからね」

いとう「文化だよね。何に役立つか分からないことを突き詰めていく。素晴らしいよね」

カントくん「本当、200回もそんな番組が続いたのは奇跡ですよ」

いとう「本当だよね! 200回は今なかなかないよ」

──確かに。とてもマニアックな人たちばかりで・・・長く続けるコツとかはあるのでしょうか?

いとう「結局、好きだからやっているっていうことが一番だよ。博士がそういう地中にいる“ミミズ”の人たちを引っ張り出しているよね。例えば子どもたちの中に、「クジラのひげにだけ興味があるけど、何も話せない」って人がいたとしたら、「ヒゲだけでいいんだ!」って言ってあげられるってことだよ」

博士「それ(好きなこと)を書けば、実は私も好きっ! という人が湧いてくるっていう感じがいいんですよね」

いとう「それを長く続けないと駄目なんだよね。岩盤が掘れないというか。まだまだいっぱい“ミミズ”たちがいるわけ。それが1、2年の番組だと届かないんですけど、でも鉱脈はすごくあるので、テレビはなるべく長寿であってほしいと思うところはそこですよね。ひょっとしたらこの番組を見ている視聴者の方が、何の職業に就くか決める番組にもなると思いますし」

博士「地中から出ると、周りの人たちにも影響を受けるしね。まだここまで深くやっている人がいるんだって、知ってもらえたらいいなと思うし」

──では最後に、視聴者の方へメッセージをお願いします!

博士「偶然でいいので、チャンネル合わせていただいて、興味を持っていただけたらうれしいです」

──ありがとうございました!

今回の取材を通して、まだまだ知られざることが世の中にはたくさんあると実感しました。いつまでも好きなことを続けたり、探求することの素晴らしさを、ぜひ番組を通じて感じてください! いとうせいこうさんがゲストの回は2週にわたって放送予定です。お見逃しなく!

【番組情報】


「BOOKSTAND.TV」
BS12 トゥエルビ
金曜 深夜2:30~3:00

BS12 トゥエルビ 担当Y・A

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