トナミ運輸4連覇 茨城国体バド成年男子

第2シングルスでストレート勝ちしたトナミ運輸の下農=石岡市運動公園体育館

 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」第5日は2日、茨城県の石岡市運動公園体育館でバドミントン成年男子の決勝が行われ、県勢のトナミ運輸が熊本を2-1で破り、4連覇を果たした。同競技成年男子の県勢制覇は16度目。今大会では、県勢初の優勝となった。

 試合は1ダブルス2シングルスの団体戦。トナミ運輸は第1ダブルスで、下農走(しもの・はしる)・久保田友之祐組が1-2で敗れたものの、第1シングルスの武下利一が2-1で逆転勝ち。第2シングルスの下農走も2-0で快勝し、4連覇を決めた。

 2016、17年の国体優勝に貢献した下農と、17年全日本総合選手権シングルス覇者の武下の実力者2人がチームをけん引した。

■武下、最後の試合で底力

 勝てば4連覇が決まる場面で、トナミ運輸のシングルスを任されたのは元全日本総合選手権覇者の武下だった。現役は既に引退しているが、体調不良で欠場した選手に代わって今国体に出場。決勝は「自分のやれることを考えてプレーした」。優勝が決まると大きく拳を突き上げ、後輩たちに頼れる背中を示した。

 第1ゲームは接戦の末に先取を許した。だが第2ゲームは取り返し、勝敗の行方は最終ゲームにもつれ込んだ。

 序盤から相手を揺さぶる巧みな配球で圧倒。高い打点から打つスマッシュを次々に決め、中盤に9連続得点で突き放した。相手のミスも見逃さず得点につなげ「経験の差。学生には負けられない」とほほ笑んだ。「やっぱ強ぇー」。試合終盤は対戦相手がこう漏らすほど、圧倒的な展開で締めた。

 大会後はコーチに戻り、後進の育成に当たる。「これが本当に最後の試合。力を発揮できて満足です」。5連覇は指導者として後押しするつもりだ。(社会部・松澤拓也)

■磐石の強さ、関係者称賛

 「選手層が厚い」「レベルの高さに驚いた」。トナミ運輸が王座を譲らず、会場で戦いを見守った関係者やファンからは盤石の強さをたたえる声が相次いだ。

 「よくV4を達成してくれた。昨年(国体に)出た選手が一人もいないのに、すごいことだ」。県選手団副団長の米山隆県スポーツ振興課長は、選手層の厚さが連覇の要因とみる。

 茨城県つくば市の50代の主婦は武下のプレーが印象的といい「先制されても、最終ゲームで大差をつけて勝ち切るところがすごい」。国内トップチームの底力を実感した様子。日本バドミントン協会で選手強化本部長を務める京田和男富山県協会理事長は「トナミ運輸が強ければ、子どもたちも競技に関心を持つ」と言い、県内の底辺拡大を期待した。 (社会部・市江航大)

第1シングルスに登場したトナミ運輸の武下=石岡市運動公園体育館
バドミントン成年男子決勝 ダブルスで躍動感あふれるプレーを見せる下農(左)、久保田組=石岡市運動公園体育館
バドミントン成年男子 必死にシャトルを追うトナミ運輸の下農
バドミントン成年男子決勝 決勝点を決め、雄たけびを上げるトナミ運輸の武下
観客席に向かって、笑顔でポーズを決めるトナミ運輸の(左から)武下、久保田、下農、荒木監督
男女総合成績第4位の賞状を受け取るトナミ運輸の荒木監督

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